請求済未出荷契約|倉庫に残る商品の支配を判断する
合理的理由、区分識別、出荷準備、転用不能を確認し、物理的占有と顧客の支配を分けて収益認識を判断します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
合理的理由、区分識別、出荷準備、転用不能を確認し、物理的占有と顧客の支配を分けて収益認識を判断します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
最初に押さえる結論と判断規範
合理的理由、区分識別、出荷準備、転用不能を確認し、物理的占有と顧客の支配を分けて収益認識を判断する。
請求済未出荷契約とは、顧客へ代金を請求した後も、売手が商品を物理的に保管する契約です。売手の倉庫にあるから収益を認識できない、とも、請求済みだから認識できる、とも一律には決まりません。商品を使用して便益を得る能力を、いつ顧客が支配したかが出発点です。
顧客工場の改修遅延を理由に、完成した機械の保管を顧客が求める場合を考えます。事情には合理性があり得ますが、それだけで結論は出ません。売手の売上目標を満たすための保管なのか、顧客が必要としている保管なのかを、依頼内容と実際の在庫運用から確かめます。
要件 | 確認する事実の例 | 満たさない例 |
|---|---|---|
保管契約に合理的な理由がある | 顧客の工場改修予定と保管依頼 | 売手の都合だけで請求を先行 |
顧客に属する商品として区分識別される | 製造番号、区画、顧客別台帳 | 対象の個体を特定できない |
顧客へ物理的に移転する準備が整う | 完成・必要試験済みで出荷可能 | 重要な加工や試験が未完了 |
四要件は選択式の条件ではなく、全部が必要です。併せて通常の支配移転に関する定めを適用し、所有権、対価を請求する権利、リスク・経済価値、検収なども検討します。顧客名の札と請求書だけをそろえて、顧客の実際の権利を確認しない判断は避けます。
完成・区分済みの商品でも、売手が別の顧客へ自由に振り向け、後日同等品を補充できるなら、転用不能の要件に問題があります。倉庫担当者の運用が契約書と矛盾していないかも重要です。反対に、顧客が支配を得ており必要な条件を満たすなら、売手が物理的な保管を続ける事実だけで商品収益を遅らせるものではありません。
また、完成後に軽微な発送事務が残る場合と、重要な加工が残る場合を区別します。「未出荷」という同じ言葉の中に、支配移転済みの保管と、販売義務が未完了の在庫が混在し得ます。
契約価格1,100万円を、商品1,000万円、別個の保管サービス100万円へ適切に配分済みとします。商品の支配は本日移転し、保管は明日から10か月間、均等に提供する設例です。返品、買戻義務、金融要素、税金の影響はありません。
時点 | 商品収益 | 保管収益 | 累積収益 |
|---|---|---|---|
本日・商品支配移転時 | 1,000万円 | 0万円 | 1,000万円 |
保管を3か月提供した時点 | 追加なし | 100×3÷10=30万円 | 1,030万円 |
保管対価を含む1,100万円を本日に全額認識しません。代金全額を先に受け取っても、未提供の保管サービスが履行済みになるわけではありません。一方、商品収益を毎月の保管期間に合わせて重ねて計上することもありません。
顧客が支配する保管品は、自社の販売用棚卸資産と区分して数量と所在を管理します。保管している物すべてを自社在庫へ含めると、販売済み商品の原価振替を落とすおそれがあります。支配未移転の商品を、請求しただけで在庫から外すのも適切ではありません。
期末には商品番号、顧客の権利、保管開始日、未提供サービスの対価を照合します。支配の結論と、倉庫内の保管事実を同じ台帳で追えることが要点です。本稿の基準時点は2026年4月1日で、確認3問では四要件と未履行サービスへの配分を確かめます。
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
請求済未出荷契約|倉庫に残る商品の支配を判断する
収益認識の契約別応用
売手が使用・他顧客への転用能力を持たない | 対象商品を他注文へ回せない運用 | 同等品と差し替えて自由に他へ出荷 |
保管完了時点
追加なし |
累計100万円 |
1,100万円 |
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