年金資産の期待収益と実績|掛金・給付と運用差異を分ける
退職給付費用に使う期待収益と期末資産を決める実際運用成果を区分し、差額と残高を独立に照合します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
退職給付費用に使う期待収益と期末資産を決める実際運用成果を区分し、差額と残高を独立に照合します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
最初に押さえる結論と判断規範
退職給付費用に使う期待収益と期末資産を決める実際運用成果を区分し、差額と残高を独立に照合する。
退職給付費用の計算では、期首年金資産に合理的な長期期待運用収益率を掛けた期待運用収益を用います。これは資産運用で当期に実際に受け取った現金と同じとは限りません。期待値と実績が違えば数理計算上の差異となるため、両者を同じ数字へ強制しません。資産の運用から期待する便益によって退職給付費用を減らす項目であり、会社の通常売上高を増やすという扱いでもない。
金額を万円とし、期首年金資産八百、適切な長期期待運用収益率三パーセントで期中拠出時期の調整は不要とします。期待収益は800×0.03=24です。資産構成や運用方針を踏まえた合理的な率を使い、当期利益を増やすため自由に率を上げるのではありません。債務の割引率とも役割が異なります。
実際の運用成果が十なら、期待二十四を十四下回るため、資産側の数理損失は24−10=14となります。期待収益を使って既に費用を二十四減らす一方、実際に増えた資産は十であるという差を把握します。実際収益十をさらに退職給付費用から控除すると、同じ運用効果を二回使ってしまう。実際が期待を上回れば差異は反対方向となります。
運用成果には利息や配当だけでなく、時価の変動等も含めて適切に測定します。現金で受け取った配当だけを実績とすると、値上がりや値下がりを落として期末資産と合わなくなります。制度への掛金拠出も資産を増やすが、企業が入れた元本であり運用収益へ含めません。
期首資産八百、当期の企業拠出六十、実際運用成果十、年金からの給付支払五十で他の変動がないなら、期末年金資産は800+60+10−50=820となります。ここへ期待収益二十四を入れると、実在する資産より十四多くなってしまう。期末時価へつながる資産調整表には実績を用い、退職給付費用の期待収益計算と分ける必要があります。
年金からの給付は資産を減らすと同時に、その給付に対応する債務も減らします。企業が直接払った給付なら年金資産を減らすとは限りません。支払の主体や経路を確認し、給付支払という名称の金額をすべて年金資産から引かない。期首期末の残高が合うかだけでなく、原因の妥当性も確認します。
期待運用率は、年金資産が給付へ使われる時期、ポートフォリオ、運用実績、方針、市場動向等を考慮して設定します。当期の実績収益率を翌期の期待率へ機械的に写すものではありません。また、実績との差が生じた年度にすべて当期損益となるかは、数理差異の費用処理方針を別に確認します。期末資産の実績反映を遅らせることと、差異費用の期間配分は異なります。
本稿は2026年4月1日時点の日本基準によります。数値例は資産移管、為替、制度改訂、特別な期中拠出による期待収益調整を除き、実際運用成果は時価変動等を含め適切に測定済みとします。期待収益、実績、拠出、給付、差異という五つを分けて残高と費用を照合し、目標と実績を同じ金額にして差を隠さない。
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
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