直接労務費差異の分析|賃率差異と作業時間差異
直接労務費の標準額と実際額の差を、時間単価と作業時間の二つへ分けます。実際生産量に対応する標準時間を求めてから計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
直接労務費の標準額と実際額の差を、時間単価と作業時間の二つへ分けます。実際生産量に対応する標準時間を求めてから計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
賃率差異=(標準賃率−実際賃率)×実際時間
作業時間差異=(実際生産量の標準時間−実際時間)×標準賃率
端数処理例題は表示した条件で計算し、端数処理を行う箇所は本文に示します。
補足金額・数量・期間の単位をそろえて計算します。
直接労務費差異を分析するには、実際に完成した生産量を標準的な条件で作ると何時間必要だったかを先に求めます。当初の予算生産量に対応する時間をそのまま使うと、生産量の変化と作業能率の変化が混ざります。
ここでは標準額から実際額を引き、正を有利差異、負を不利差異と表します。差異額を常に正数で表示し、別に有利・不利を付ける方式でも構いませんが、途中で符号の方式を変えないようにします。原価計算基準では直接労務費差異を賃率差異と作業時間差異へ分析する考え方が示されています。
製品1個の標準作業時間は2時間、標準賃率は1時間1,800円です。実際生産量は100個、実際作業時間220時間、実際の直接労務費418,000円とします。実際賃率は418,000円÷220時間=1,900円です。
実際生産量の標準時間は100個×2時間=200時間、標準労務費は360,000円です。直接労務費差異は360,000円−418,000円=−58,000円で、不利差異となります。
賃率差異は(1,800円−1,900円)×220時間=−22,000円です。標準より高い賃率を実際時間に適用した影響を表します。作業時間差異は(200時間−220時間)×1,800円=−36,000円です。標準時間を20時間超えた影響を標準賃率で表します。
二つを合計すると−58,000円となり、労務費全体の差異と一致します。賃率差異を標準時間へ掛けたり、時間差異を実際賃率で評価したりすると、この分解との整合が取れなくなります。
賃率が高くなった理由には、残業割増、熟練者の配置、労働市場の変化などがあります。作業時間が増えた理由も、設備停止、材料品質、製品構成、標準設定の古さなど様々です。時間差異の全額を作業者の責任とみなすことは適切ではありません。
熟練者の賃率が高くても、作業時間を大きく短縮して全体費用を減らす場合があります。差異を別々に調べつつ、二つの関係と品質・納期への影響も確かめます。異常な状態に基づく時間差異の会計処理は、通常の差異の管理分析と分けて確認します。
公認会計士短答式試験 / 管理会計論
標準原価と原価差異の基本を説明し、問題に答える
標準原価と原価差異
1. 原価計算基準
企業会計審議会(ASBJ掲載)
該当箇所: 第四章 四六(三)直接労務費差異
出典を開く標準時間を予定生産量から求める、完成数量と投入数量を混同する、単位賃率と総労務費を取り違える誤りに注意します。標準と実際の集計対象を同じ作業範囲へそろえます。
標準時間200時間、実際時間190時間、標準賃率1,800円なら、作業時間差異は18,000円の有利差異です。実際の賃率が分からなくても、時間差異は標準賃率を使って計算できます。