小口現金の会計処理|定額資金前渡法と補給の仕訳
定額資金前渡法による小口現金の設定、支払報告、費用計上、補給までを時系列で整理し、補給額と帳簿残高の関係を解説します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月28日
定額資金前渡法による小口現金の設定、支払報告、費用計上、補給までを時系列で整理し、補給額と帳簿残高の関係を解説します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月28日
小口現金は、日常の少額支払いに備えて担当者へ資金を渡す制度です。定額資金前渡法では、設定、支払い、支払報告、補給を分け、それぞれの時点で誰の帳簿へ何を記録するかを確認します。
定額資金前渡法では、設定額を一定に保つことが中心です。処理の流れは「小口現金の設定」「小口現金係による支払い」「支払報告による費用計上」「使用額の補給」の順になります。
少額支出を小口現金で管理する
交通費、通信費、消耗品費などを小口現金係が支払う場面です。
定額資金前渡法を採用している
使用額を補給し、小口現金を一定額に保つ方法を前提とします。
支払報告の内容を確認できる
費用科目と金額を領収書・支払報告書から分類します。
小口現金を設定した時点では、資産の内訳が当座預金から小口現金へ変わるだけで、費用は発生しません。本例題では、支払報告を受けた時点で本社の帳簿に旅費交通費、通信費、消耗品費などを記帳します。費用の発生時点そのものが報告日へ移る意味ではなく、決算では未報告の支出も確認します。
補給は、すでに減少した小口現金を当初設定額まで戻す処理です。費用の認識と補給を別々に記帳する方法では、報告時に小口現金を減らし、補給時に小口現金を増やします。報告と補給が同時である場合は、費用を借方、当座預金を貸方とする一つの仕訳にまとめる実務的な処理もあります。
定額資金前渡法では、原則として補給額は支払報告額の合計です。
補給前の小口現金残高 = 設定額 - 支払報告額
補給額 = 設定額 - 補給直前の小口現金残高
領収書や支払報告に漏れがなく、手許現金も一致していれば、補給額は支払額と同額になります。手許現金と帳簿上の残高が一致しない場合は、まず未報告の支払いを調べ、なお残る差額を現金過不足として処理します。
例題:小口現金の設定
設定時点では費用は発生しません。
借方
貸方
小口現金は現金の一種であり、貸借対照表上は「現金及び預金」に含めて流動資産に表示します。小口現金係が保管する領収書は現金そのものではなく、すでに発生した費用を裏付ける証憑です。
通常の小口現金制度について独立した注記は行いません。ただし、現金管理に重大な不備がある場合は、内部統制や不正・誤謬の問題として別の検討が必要になります。
不定額資金前渡法では、必要に応じた金額を補給するため、補給後の小口現金残高は一定になりません。本記事では、公認会計士試験や簿記学習で基本となる定額資金前渡法を中心に扱います。
小口現金係への前渡しを行わず、従業員が立て替えた支出を後日精算する場合は、小口現金ではなく未払金や従業員立替に関する処理となることがあります。
小口現金を設定した時点で費用を計上する誤りがあります。設定は預金から現金への振替であり、本社では支払報告を受けて費用を記帳します。決算日までに発生した未報告の費用は、必要な決算整理を行います。
また、補給額を常に設定額そのものとする誤りもあります。定額資金前渡法で補給するのは、原則として当初設定額までの不足分、すなわち支払報告額です。
小口現金の計算では、「設定額」「支払報告額」「補給直前の手許残高」「補給額」を時系列に並べます。未報告支出がある場合は、領収書合計と実際の手許現金を別々に確認することで、現金過不足との混同を防げます。
会社は定額資金前渡法を採用し、小口現金50,000円を設定しました。その後、小口現金係から旅費交通費12,400円、通信費5,200円、消耗品費8,600円の支払報告を受け、直ちに使用額を補給しました。
支払報告額は合計26,200円です。報告時には、旅費交通費12,400円、通信費5,200円、消耗品費8,600円を借方に、小口現金26,200円を貸方に計上します。補給時には小口現金26,200円を借方、当座預金26,200円を貸方に計上します。補給後の小口現金残高は50,000円に戻ります。
費用を計上する時点と、小口現金を補給する時点を分けます。支払報告時に費用を認識した条件なら、補給時に同じ費用を再計上しません。補給後の手許現金と、設定した資金額の照合まで行います。
小口現金80,000円を設定した時点で、費用は認識されますか。
設定額80,000円、補給直前の適正な手許残高が31,500円である場合、定額資金前渡法の補給額はいくらですか。
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
現金・小口現金の基本を説明し、問題に答える
現金・小口現金
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
小口現金
現金・小口現金
1. 企業会計審議会 企業会計原則・同注解
企業会計審議会(ASBJ掲載)
該当箇所: 一般原則二(正規の簿記)、損益計算書原則一A(費用の期間配分)。小口現金制度・記帳時点は独自設例。
出典を開く例題:支払報告
費用を内容別に記帳します。
借方
貸方
例題:補給
使用額を補給し、設定額50,000円に戻します。
借方
貸方
代替案:報告と補給を同時に処理
上の支払報告・補給と同じ支出について併用しません。
借方
貸方
小口現金の設定では、小口現金という資産を増やし、当座預金を減らします。支払報告を受けた場合は、支出内容に応じた費用を計上し、小口現金を減らします。その後、使用額と同額を補給して小口現金を当初の設定額へ戻します。
複数の支出がある場合は、借方に費用科目を複数行で記載し、貸方の小口現金はその合計額とします。勘定科目をすべて雑費にまとめず、支出の内容に応じて旅費交通費、通信費、消耗品費などへ分類することが重要です。
認識されません。小口現金の設定は、当座預金を小口現金へ振り替える資産内部の取引です。
48,500円です。80,000円から31,500円を差し引いた金額を補給し、残高を設定額へ戻します。
定額資金前渡法では、小口現金の設定時に費用を計上せず、支払報告に基づいて費用を記帳し、使用額を補給して設定額へ戻します。補給額と支払額の関係を時系列で捉えることが処理の中心です。