現金と現金過不足の会計処理|現金の範囲・不足・超過の仕訳
簿記上の現金に含めるものと含めないものを判定し、現金実査額と帳簿残高の差額を修正する会計処理を、期中処理と決算整理に分けて解説します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
簿記上の現金に含めるものと含めないものを判定し、現金実査額と帳簿残高の差額を修正する会計処理を、期中処理と決算整理に分けて解説します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
現金の会計処理では、最初に「手許にあるもののうち、何を簿記上の現金として数えるか」を確定します。そのうえで現金実査額と現金勘定の帳簿残高を比較し、誤分類や記帳漏れを直した後にも残る差額を現金過不足として処理します。
現金に含まれるのは、通貨に加え、他人振出小切手、配当金領収証、利払日が到来した公社債の利札、郵便為替証書など、直ちに換金できる通貨代用証券です。一方、自己振出小切手、先日付小切手、利払日前の公社債利札、未使用の切手や収入印紙は現金に含めません。
現金の実査を行う
決算日または期中に、手許の通貨と通貨代用証券を確認する場面です。
帳簿残高と実査額に差額がある
誤分類と記帳漏れを修正した後にも差額が残る場合に現金過不足を処理します。
現金に含める項目を判定できる
直ちに換金できるかを基準に、現金・受取手形・貯蔵品などへ分類します。
決算日に現金を実査し、簿記上の現金だけを集計します。差額を求める前に、現金に含めてはいけないものが現金勘定に入っていないか、現金収支の記帳漏れがないかを確認します。
期中に原因不明の差額が見つかった場合は、調査が終わるまで「現金過不足」という仮勘定で処理します。決算日までに原因が判明した部分は正しい勘定科目へ振り替え、なお原因不明の部分だけを雑損または雑益に振り替えます。決算日に初めて差額が判明した場合は、現金勘定を実査額に直接合わせます。
現金実査額は、通貨と通貨代用証券の合計です。帳簿残高は、自己振出小切手や先日付小切手などの誤分類、配当金や費用支払などの記帳漏れを修正した後の金額を用います。
修正後帳簿残高が実査額を上回ると現金不足、実査額が修正後帳簿残高を上回ると現金超過です。差額は次の関係で把握できます。
現金不足額 = 修正後帳簿残高 - 現金実査額
現金超過額 = 現金実査額 - 修正後帳簿残高
自己振出小切手を現金としていた場合
以前の小切手振出による当座預金の減少を取り消します。
借方
貸方
現金は、貸借対照表上「現金及び預金」として流動資産に表示します。期末残高は現金実査額を基礎とします。原因不明の雑損は営業外費用、雑益は営業外収益として表示するのが基本です。
先日付小切手は受取手形、未使用の切手・収入印紙などは貯蔵品として、それぞれ現金とは別に表示します。
通常の現金過不足は、それ自体を独立して注記する事項ではありません。ただし、金額的重要性が高い不正・紛失・事故などが判明した場合は、原因となった事象に応じた表示や開示を別途検討します。
外国通貨は現金の範囲に含まれますが、期末には決算時の為替相場で円換算し、換算差額を為替差損益として処理します。
自己振出小切手は、他社が振り出した小切手とは扱いが逆です。受け入れた時点で新たな現金が増えたのではなく、自社が以前行った当座預金減少の処理を取り消す点が重要です。
他人振出小切手と先日付小切手を同じように現金へ含める誤りがあります。判断基準は、決算日時点で直ちに換金できるかどうかです。
また、帳簿残高と実査額の差額を直ちに雑損益へ振り替えるのも誤りです。先に誤分類と記帳漏れを修正し、それでも残る原因不明額だけを雑損益とします。
現金過不足の計算では、「現金に含める金額」「現金から除く金額」「帳簿へ追加する未記帳額」を符号付きで整理します。計算問題では、現金実査額と修正後帳簿残高を別々に作ると、差額の方向を取り違えにくくなります。
決算整理前の現金勘定残高は32,400円でした。実査で確認されたものは、通貨21,000円、他人振出小切手9,500円、先日付小切手2,000円です。また、配当金領収証1,200円の受取りが未記帳でした。
簿記上の現金実査額は、通貨21,000円と他人振出小切手9,500円に配当金領収証1,200円を加えた31,700円です。先日付小切手2,000円は受取手形へ振り替えます。帳簿残高は32,400円から先日付小切手2,000円を除き、未記帳の配当金1,200円を加えるため31,600円になります。したがって、実査額が帳簿残高を100円上回り、現金100円の超過を雑益として計上します。
決算日に、現金勘定の修正後帳簿残高が86,000円、現金実査額が84,500円でした。原因不明額について必要な処理を答えてください。
自社が以前振り出した小切手3,000円を取引先から裏書譲渡され、誤って現金として処理していました。どの勘定へ振り替えるべきですか。
現金が1,500円不足しています。借方に雑損1,500円、貸方に現金1,500円を計上し、現金勘定を実査額へ合わせます。
自己振出小切手は現金ではありません。借方に当座預金3,000円、貸方に現金3,000円を計上し、以前の当座預金減少を取り消します。
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
現金・小口現金の基本を説明し、問題に答える
現金・小口現金
1. 企業会計審議会 企業会計原則・同注解
企業会計審議会(ASBJ掲載)
該当箇所: 一般原則二(正規の簿記の原則)・貸借対照表原則五(現金預金)
出典を開く先日付小切手を現金としていた場合
直ちに換金できないため、現金から受取手形へ振り替えます。
借方
貸方
原因不明の現金不足
現金勘定を実査額まで減額します。
借方
貸方
原因不明の現金超過
現金勘定を実査額まで増額します。
借方
貸方
期中の現金不足を仮処理する場合
原因調査が終わるまで現金過不足勘定で受けます。
借方
貸方
期中の現金超過を仮処理する場合
原因調査が終わるまで現金過不足勘定で受けます。
借方
貸方
誤分類や記帳漏れは、まず本来の取引内容に直します。たとえば、自己振出小切手を現金として受け入れていた場合は、以前の小切手振出による当座預金の減少を取り消します。先日付小切手は直ちに換金できないため、現金から受取手形へ振り替えます。
その後、原因不明の不足は雑損、原因不明の超過は雑益で処理し、現金勘定を実査額に一致させます。雑損と雑益は、同じ決算整理の中で両方が生じる場合には相殺後の純額で捉えます。
企業会計原則の正規の簿記の原則と現金預金の表示を参考にしています。例題では、実際に保有する現金と帳簿残高を照合し、判明した原因を記帳した後の差額を求めます。
現金過不足は、現金の範囲を確定し、誤分類と記帳漏れを修正した後の帳簿残高と実査額との差額です。現金不足は雑損、現金超過は雑益とし、期末の現金残高を実査額へ一致させます。
