全部原価と変動原価の利益差|固定製造原価の在庫移動を追う
全部原価利益と変動原価利益の差は、固定製造原価を在庫へ含めるか、当期費用とするかによって生じます。販売量が同じでも在庫が増えれば、全部原価利益が相対的に高くなる場合があります。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
全部原価利益と変動原価利益の差は、固定製造原価を在庫へ含めるか、当期費用とするかによって生じます。販売量が同じでも在庫が増えれば、全部原価利益が相対的に高くなる場合があります。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
全部原価利益-変動原価利益=期末在庫内固定製造原価-期首在庫内固定製造原価(その他の差なし)
全部原価計算は固定製造原価を製品原価に含め、未販売分を在庫として翌期へ繰り越します。変動原価計算は製品の変動製造原価を在庫へ含め、当期の固定製造原価を期間の費用とします。同じ販売と同じ支出でも、固定製造原価をいつ費用にするかによって利益が違うことがあります。
以下は管理会計上の利益を比較する学習例です。売上、変動原価、販売・管理費などは共通で、固定製造原価の在庫内移動以外に利益差はないとします。財務報告へ用いる原価計算の取扱いと、管理目的の変動原価による分析は目的を区別します。
期首在庫なし、当期生産100個、販売80個、期末在庫20個です。売価1,500円、単位変動製造原価600円、当期固定製造原価40,000円、固定販売費10,000円とします。固定製造原価は当期生産へ全額配分し、単価400円です。評価損や配賦差異等はありません。
項目 | 全部原価計算 | 変動原価計算 |
|---|---|---|
売上高 | 120,000円 | 120,000円 |
販売分の変動製造原価 | 48,000円 | 48,000円 |
ほかの差がなければ、全部原価利益−変動原価利益=期末在庫内固定製造原価−期首在庫内固定製造原価です。全部原価利益から変動原価利益へ直すなら、期末分を引き、期首分を足します。期首分は前期まで繰り延べた費用が当期へ出てくる側なので、符号を逆にしません。
調整項目 | 単位:万円 | 理由 |
|---|---|---|
全部原価計算の利益 | 90 | 出発点 |
期末在庫内固定製造原価 | −15 | 当期の費用へ戻す |
期首・期末に同じ固定費単価が含まれるなら、在庫数量差×単価で差を求められます。単価が違うなら、それぞれの在庫層に実際に含まれる固定費額を使います。期首100個の単価300円、期末120個の単価400円なら差は48,000−30,000=18,000円で、20個×400円の8,000円とは一致しません。
固定間接費の配賦差異処理、評価損、原価計算範囲などが違えば追加調整が必要です。単純式を使う前に、差の原因を固定製造原価の在庫移動だけへ絞れるかを確認します。
全部原価利益だけで部門を評価すると、売れる見込みを超える生産によって固定費を在庫へ残す誘因が生じることがあります。利益表と併せて販売数量、在庫数量、資金拘束、品質や陳腐化を確認します。確認3問では、差額の符号、期首・期末の調整、利益と現金の違いを扱います。
公認会計士短答式試験 / 管理会計論
全部原価と変動原価の利益差|固定製造原価の在庫移動を追う
原価の流れと管理情報の応用
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1. 原価計算基準
企業会計審議会(ASBJ掲載)
該当箇所: 4(二)・(三)、30
出典を開く当期費用となる固定製造原価 |
80個×400=32,000円 |
全額40,000円 |
固定販売費 | 10,000円 | 10,000円 |
利益 | 30,000円 | 22,000円 |
期末在庫内の固定製造原価 | 20個×400=8,000円 | 含めない |
利益差8,000円は、全部原価計算が期末在庫へ残した固定製造原価と一致します。現金を8,000円節約したことや、販売による利益が追加で生まれたことを表す差ではありません。固定販売費はこの製品在庫へ含める固定製造原価と区別します。
期首在庫内固定製造原価 |
+8 |
過年度から持ち込んだ費用化を戻す |
変動原価計算の利益 | 83 | 90−15+8 |
別の例で変動原価利益60万円、期首在庫内固定費12万円、期末9万円なら、全部原価利益は57万円です。在庫の固定費を取り崩す期には、全部原価利益の方が低くなることもあります。常にどちらかが高いという暗記はできません。
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