貸倒損失・貸倒引当金取崩額・償却債権取立益の計算
当期発生債権と前期以前発生債権を分け、貸倒引当金の取崩額、貸倒損失、償却済債権の回収益を計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月24日
当期発生債権と前期以前発生債権を分け、貸倒引当金の取崩額、貸倒損失、償却済債権の回収益を計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月24日
当期発生債権の貸倒損失 = 当期発生債権の貸倒額
貸倒引当金取崩額 = min(前期以前発生債権の貸倒額, 同じ設定対象グループの利用可能引当金残高)
前期以前発生債権の貸倒損失 = 前期以前発生債権の貸倒額 - 貸倒引当金取崩額
償却債権取立益 = 前期以前に貸倒処理した債権の当期回収額
当期発生債権の貸倒れは次のとおりです。
当期発生債権に係る貸倒損失 = 当期発生債権の貸倒額
前期以前発生債権の貸倒れは、同じ引当グループの残高を上限として補填します。
貸倒引当金取崩額 = 前期以前発生債権の貸倒額と利用可能な貸倒引当金残高のいずれか小さい額
前期以前発生債権に係る貸倒損失 = 前期以前発生債権の貸倒額−貸倒引当金取崩額
償却債権取立益 = 前期以前に貸倒処理した債権の当期回収額
当期中に貸倒処理した債権を同じ当期中に回収した場合は、当初の貸倒処理を回収額に応じて取り消します。
単位:円
端数処理
本記事は、2026年10月改正を適用する前の日本基準による学習計算です。改正基準は原則2030年4月1日以後開始年度、早期適用は2027年4月1日以後開始年度からです。予想信用損失モデル等の適用後の計算とは区別してください。
貸倒れが発生した債権について、当期発生債権と前期以前発生債権を区別し、貸倒引当金の取崩額と貸倒損失を計算できるようになります。さらに、過年度に貸倒処理した債権を回収した場合の償却債権取立益と、当期中に貸倒処理した債権を同じ期中に回収した場合の取消処理を区別します。
本記事は期首の貸倒引当金だけが設定され、期中に追加設定していない学習条件です。当期に発生した債権はその期首引当金の対象外なので、本例では全額を貸倒損失とします。実際には引当金の対象と設定時点を確認します。
前期以前に発生した債権には、前期末に貸倒引当金が設定されています。同じ設定対象グループに属する貸倒引当金を先に取り崩し、引当金で補えない不足額だけを貸倒損失とします。
前期以前に貸倒処理した債権を当期に回収した場合は、回収額を償却債権取立益として処理します。一方、当期に貸倒処理し、その当期中に回収した場合は、貸倒処理そのものを取り消します。
当期首の貸倒引当金残高は420,000円で、すべて営業債権の同じ設定対象グループに対応しています。当期中に次の取引がありました。
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
貸倒引当金の基本を説明し、問題に答える
貸倒引当金
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貸倒引当金
補足貸倒引当金は同じ設定対象グループ内でのみ充当する。当期発生か前期以前発生か、回収が貸倒処理と同一年度か過年度後かを時系列で確認する。
前期に発生した売掛金500,000円が貸し倒れた。
当期に発生した売掛金180,000円が貸し倒れた。
前期以前に貸倒処理していた売掛金70,000円を現金で回収した。
貸倒引当金取崩額、貸倒損失、償却債権取立益、当期損益への正味影響を求めます。
前期発生の売掛金500,000円に対し、利用可能な貸倒引当金は420,000円です。
貸倒引当金取崩額 = 420,000円
不足する貸倒損失 = 500,000円−420,000円 = 80,000円
仕訳は次の考え方です。
(借)貸倒引当金 420,000円 (借)貸倒損失 80,000円 (貸)売掛金 500,000円
当期発生債権は前期末の引当対象ではないため、全額を貸倒損失とします。
貸倒損失 = 180,000円
(借)貸倒損失 180,000円/(貸)売掛金 180,000円
償却債権取立益 = 70,000円
(借)現金 70,000円/(貸)償却債権取立益 70,000円
貸倒損失合計 = 80,000円+180,000円 = 260,000円
正味費用 = 貸倒損失260,000円−償却債権取立益70,000円 =190,000円
項目 | 金額 |
|---|---|
貸倒引当金取崩額 | 420,000円 |
前期発生債権に係る貸倒損失 | 80,000円 |
当期発生債権に係る貸倒損失 | 180,000円 |
貸倒損失合計 | 260,000円 |
償却債権取立益 | 70,000円 |
当期損益への正味費用影響 | 190,000円 |
貸し倒れた売掛金の総額680,000円は、引当金の取崩額と貸倒損失に分かれます。
500,000円+180,000円 = 680,000円
420,000円+260,000円 = 680,000円
回収額70,000円は、今回貸し倒れた680,000円とは別に、過年度にすでに帳簿から除かれていた債権です。そのため、貸倒損失から直接差し引かず、償却債権取立益として区別します。
当期発生債権の貸倒れに、期首貸倒引当金を充当する。
前期発生債権の貸倒れを全額貸倒損失とし、引当金を使わない。
利用可能な引当金残高を超えて貸倒引当金を取り崩す。
別の設定対象グループに係る貸倒引当金を流用する。
過年度に償却した債権の回収を、売掛金の回収として処理する。
当期中の貸倒れを同じ当期中に回収したのに、償却債権取立益を計上する。
営業債権と営業外債権の貸倒損失の表示区分を混同する。
決算時の新たな貸倒引当金設定と、期中の貸倒処理を同じ計算にする。
当期首の貸倒引当金残高は250,000円です。当期中に、前期発生の売掛金180,000円と、当期発生の売掛金90,000円が貸し倒れました。いずれも同じ営業債権グループです。
貸倒引当金取崩額、貸倒損失、貸倒処理後の引当金残高を求めてください。
当期中に、前期発生の売掛金120,000円と当期発生の売掛金80,000円を貸倒処理しました。前期発生分には十分な貸倒引当金があります。その後、同じ当期中に前期発生分50,000円と当期発生分30,000円を現金で回収しました。
当期中の貸倒処理と回収を通じた、貸倒引当金の正味減少額と貸倒損失の正味額を求めてください。
前期発生分180,000円は貸倒引当金で補填します。
貸倒引当金取崩額 = 180,000円
当期発生分90,000円は全額貸倒損失です。
貸倒損失 = 90,000円
貸倒処理後の引当金残高 = 250,000円−180,000円 = 70,000円
貸倒時は次の金額を処理します。
貸倒引当金取崩額 = 120,000円
貸倒損失 = 80,000円
同じ当期中の回収なので、過年度償却債権の回収益ではなく、貸倒処理を取り消します。
前期発生分の回収50,000円:貸倒引当金を50,000円戻す
当期発生分の回収30,000円:貸倒損失を30,000円取り消す
したがって、正味額は次のとおりです。
貸倒引当金の正味減少額 = 120,000円−50,000円 = 70,000円
貸倒損失の正味額 = 80,000円−30,000円 = 50,000円
この回収では償却債権取立益を計上しません。
貸倒引当金が営業債権と営業外債権などのグループ別に設定されている場合は、そのグループ内の残高だけを補填に使います。別グループに残高があっても流用しません。
営業債権に係る貸倒損失と営業外債権に係る貸倒損失は、損益計算書上の表示区分が異なるため、問題文で債権の性質を確認します。
当期末の貸倒引当金必要額を計算する場合は、期中の貸倒処理後に残った引当金残高と、期末必要額との差額を別途計算します。差額補充法の決算整理と、期中貸倒れの処理を混同しないでください。
貸倒時の判断誤りに起因する回収など、問題文で特別な事情が示される場合は、このページの通常処理をそのまま適用せず、指定された訂正処理に従います。
2026年10月24日確認。例題は学習用に作成しました。本文で指定した期間・計算方法・丸め方を用います。
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