社債の償却原価|定額法による帳簿価額・社債利息の計算
社債を発行する会社の立場で、額面金額と発行価額の差額を定額法により配分します。割引・打歩発行、期中発行の月割、現金支払利息と未払利息を分け、当期の社債利息と期末帳簿価額を求めます。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月24日
社債を発行する会社の立場で、額面金額と発行価額の差額を定額法により配分します。割引・打歩発行、期中発行の月割、現金支払利息と未払利息を分け、当期の社債利息と期末帳簿価額を求めます。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月24日
発行価額 = 額面金額 × 発行価額割合
符号付き償却額 = (額面金額 - 発行価額) ÷ 償還期間の総月数 × 対象月数
クーポン利息相当額 = 額面金額 × 年間クーポン利率 × 対象月数 ÷ 12
社債利息 = クーポン利息相当額 + 符号付き償却額
期末社債残高 = 期首社債残高 + 符号付き償却額(元本変動がない場合)
社債利息 = 現金支払利息 + 期末未払利息 - 期首未払利息 + 符号付き償却額
発行価額 = 額面金額 × 額面に対する発行価額割合
符号付き償却額 =(額面金額 − 発行価額)÷ 償還期間の総月数 × 対象月数
当期クーポン利息相当額 = 額面金額 × 年間クーポン利率 × 当期月数 ÷ 12
当期社債利息 = 当期クーポン利息相当額 + 符号付き償却額
期末帳簿価額 = 期首帳簿価額 + 当期の符号付き償却額
最後の式は、当期に元本の償還・転換等がない場合です。初年度は期首帳簿価額の代わりに発行価額を使います。打歩発行では符号付き償却額がマイナスになるので、さらに二重に減算しないようにします。
現金支払額から費用を照合する場合は、次の式を使えます。
当期社債利息 = 当期現金支払利息 + 期末未払利息 − 期首未払利息 + 当期の符号付き償却額
本記事は、2026年10月改正を適用する前の日本基準による学習計算です。改正基準は原則2030年4月1日以後開始年度、早期適用は2027年4月1日以後開始年度からです。予想信用損失モデル等の適用後の計算とは区別してください。
社債の発行価額と額面金額の差を期間配分し、当期の社債利息と期末の社債残高を求めます。現金で支払った利息と、損益計算書に載る社債利息が一致しない理由も説明できるようになります。
このページは発行者側の計算です。保有者側の「有価証券利息」ではなく、負債の「社債」と費用の「社債利息」を使います。満期に額面で一括償還する社債を対象とし、抽選償還の利用度配分は扱いません。
定額法では、額面金額と発行価額との差額を発行日から償還日まで均等に配分します。割引発行では発行価額が額面より小さいため、償却額を社債残高と利息費用に加えます。打歩発行では発行価額が額面より大きいため、社債残高と利息費用から償却額を引きます。
「額面金額」は満期に返す元本とクーポン利息の計算基礎、「帳簿価額」は貸借対照表に載せる負債の金額です。両者を別々に管理します。社債の償却原価法は利息法を原則とし、継続適用を条件として定額法も認められます。問題文で指定された方法を確認します。
発行日、決算日、利払日、満期日を先に並べます。償却額の月数は当期に社債が存在した期間、未払利息の月数は直前の利払日から決算日までです。同じ月数になるとは限りません。
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端数処理本文の例題は端数なし。一般の問題では月割後の金額の丸め方を指示に合わせ、満期までの累計償却額と当初差額の一致を確認する。
補足年利率は小数に直して使用する。割引発行と打歩発行で符号を区別する。元本の償還・転換がない満期一括償還を対象とし、発行費・税効果は例題から除外する。
当社はX1年7月1日に、額面1,200,000円の社債を額面100円につき96円で発行しました。満期はX5年6月30日、クーポン利率は年3%、利払日は毎年6月30日・12月31日です。決算日は3月31日で、償却原価法は定額法によります。発行前に対応する未払利息はありません。
X2年3月期の発行価額、償却額、現金支払利息、未払社債利息、社債利息総額、期末帳簿価額を求めます。計算単位は円で、端数は生じません。
発行価額 = 1,200,000円 × 96% = 1,152,000円
金利調整差額 = 1,200,000円 − 1,152,000円 = 48,000円
償還期間は4年、すなわち48か月です。48,000円を48か月に配分するので、1か月の償却額は1,000円です。
X1年7月からX2年3月までの9か月が対象です。
当期償却額 = 48,000円 ÷ 48か月 × 9か月 = 9,000円
期末社債残高 = 1,152,000円 + 9,000円 = 1,161,000円
X1年12月31日には、7月から12月までの6か月分を支払います。
現金支払利息 = 1,200,000円 × 3% × 6 ÷ 12 = 18,000円
X2年3月31日には、1月から3月までの3か月分が未払いです。
未払社債利息 = 1,200,000円 × 3% × 3 ÷ 12 = 9,000円
償却原価法による9,000円の増額は、クーポンの未払いではありません。未払社債利息に加えず、社債本体へ加算します。
当期クーポン利息相当額 = 18,000円 + 9,000円 = 27,000円
当期社債利息 = 27,000円 + 9,000円 = 36,000円
発行時:
(借)現金預金 1,152,000円 / (貸)社債 1,152,000円
12月31日の利払い:
(借)社債利息 18,000円 / (貸)現金預金 18,000円
3月31日の未払利息の計上:
(借)社債利息 9,000円 / (貸)未払社債利息 9,000円
3月31日の償却原価法:
(借)社債利息 9,000円 / (貸)社債 9,000円
翌期首に未払利息を再振り替える場合でも、社債本体に加算した償却額は振り戻しません。
対象期間 | 月数 | クーポン利息相当額 | 償却額 | 社債利息 | 期間末社債残高 |
|---|---|---|---|---|---|
X1年7月〜X2年3月 | 9 | 27,000円 | 9,000円 | 36,000円 | 1,161,000円 |
X2年4月〜X3年3月 | 12 | 36,000円 | 12,000円 | 48,000円 | 1,173,000円 |
X3年4月〜X4年3月 | 12 | 36,000円 | 12,000円 | 48,000円 | 1,185,000円 |
X4年4月〜X5年3月 | 12 | 36,000円 | 12,000円 | 48,000円 | 1,197,000円 |
X5年4月〜X5年6月 | 3 | 9,000円 | 3,000円 | 12,000円 | 1,200,000円 |
最終行の残高は元本償還直前です。満期に1,200,000円を返済すると社債残高は0円になります。
償却額合計 = 9,000円 + 12,000円 × 3 + 3,000円 = 48,000円
発行価額1,152,000円 + 償却額48,000円 = 額面1,200,000円
全期間の利息費用は192,000円で、現金で支払うクーポン144,000円と、発行時に額面を下回った48,000円の合計に一致します。
発行初年度を12か月として計算すると、償却額も当期利息も過大になります。また、クーポン利率を1,152,000円へ掛けるのは誤りです。クーポンの計算基礎は額面1,200,000円です。
現金支払利息18,000円だけを費用とすると、未払利息9,000円と償却額9,000円が抜けます。逆に、未払利息を社債本体へ加えると、負債の内訳を誤ります。
X1年4月1日、額面900,000円の社債を額面100円につき98円で発行しました。期間3年、クーポン利率年2%、利払日・決算日は毎年3月31日です。定額法を適用します。
「発行価額→年間償却額→現金支払利息→社債利息→第1年度末残高」の順に求めてください。
X1年4月1日、額面600,000円の社債を618,000円で打歩発行しました。期間3年、クーポン利率年4%、利払日は毎年3月31日、決算日は9月30日です。定額法を適用し、当期は発行から6か月です。
当期の償却による社債減少額、未払社債利息、社債利息、期末社債残高を求めてください。発行費・税効果は考慮しません。
発行価額 = 900,000円 × 98% = 882,000円
年間償却額 =(900,000円 − 882,000円)÷ 3 = 6,000円
現金支払利息 = 900,000円 × 2% = 18,000円
社債利息 = 18,000円 + 6,000円 = 24,000円
第1年度末残高 = 882,000円 + 6,000円 = 888,000円
利払日と決算日が一致するので、支払後の未払社債利息は0円です。
社債減少額 =(618,000円 − 600,000円)÷ 36か月 × 6か月 = 3,000円
未払社債利息 = 600,000円 × 4% × 6 ÷ 12 = 12,000円
社債利息 = 12,000円 − 3,000円 = 9,000円
期末社債残高 = 618,000円 − 3,000円 = 615,000円
打歩発行では、現金クーポンの一部が発行時の超過受入額に対応します。したがって、利息費用はクーポン利息相当額より小さくなります。償却の仕訳は「借方・社債3,000円、貸方・社債利息3,000円」です。
期中に一部を償還する場合は、償還部分を償還日まで、残存部分を決算日まで計算します。全額を期末まで存在したものとして均等配分しません。
発行費を繰延資産にする指定がある場合は、社債の償却差額と発行費の償却を別々に求めます。このページの発行費なしの計算に、発行費を混ぜて差額を作らないようにします。
2026年10月24日確認。例題は学習用に作成しました。本文で指定した期間・計算方法・丸め方を用います。