物価上昇と投資評価|名目と実質の前提をそろえる
物価変動を含む名目キャッシュ・フローと、基準時点の購買力で表す実質キャッシュ・フローを比較します。それぞれに対応する割引率を使い、現在価値を計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
物価変動を含む名目キャッシュ・フローと、基準時点の購買力で表す実質キャッシュ・フローを比較します。それぞれに対応する割引率を使い、現在価値を計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
1+名目割引率=(1+実質割引率)×(1+物価上昇率)
名目キャッシュフローは、その将来時点の物価を含む金額です。実質キャッシュフローは、基準時点の購買力で表した金額です。将来の同じ便益を違う価格基準で表しているので、対応する割引率で現在価値へ戻せば一致します。金額だけ物価上昇を反映して率を据え置くと、同じ投資の価値を違って測ることになります。
予測する金額 | 対応する割引率 | 避けたい組合せ |
|---|---|---|
将来時点の名目CF | 名目割引率 | 名目CFを実質率で割る |
基準時点の購買力で表す実質CF | 実質割引率 | 実質CFを名目率で割る |
物価調整は金額の価格基準を変える操作、割引は発生時点の違いを調整する操作です。実質額へ直したことだけで、将来金額が現在価値になったとはいえません。基準年とCFの発生時点を併記します。
単一の物価上昇率を仮定する単純モデルでは、1+名目割引率=(1+実質割引率)×(1+物価上昇率)です。実質率5%、物価上昇率4%なら、1.05×1.04−1=0.092、名目率は9.2%となります。
計算方法 | 式 | 結果 |
|---|---|---|
厳密な対応 | 5%+4%+5%×4% | 9.2% |
単純な足算の近似 | 5%+4% | 9.0% |
1年後のCFを時点0の購買力で200万円とし、1年間の物価上昇率4%、実質割引率5%とします。税金その他の調整はない設例です。1年後の名目金額は200×1.04=208万円で、対応する名目率は9.2%です。中間計算は丸めず、表示だけ小数第2位へ四捨五入します。
評価の方法 | 計算 | 時点0の現在価値 |
|---|---|---|
実質額と実質率 | 200÷1.05 | 約190.48万円 |
名目額と名目率 | 208÷1.092 | 約190.48万円 |
実際の投資では、販売単価、原材料、賃金が同じ率で上昇するとは限りません。収入と支出のそれぞれへ対応する価格見通しを反映します。実質CFで評価する場合も、基準年の購買力に対する相対価格の変化を無視する意味ではありません。
税引後の評価では、減価償却の税効果などが名目取得額に対応する点にも注意します。簡単な一物価率の設例の式を、税金や相対価格を含むすべての予測へ無条件に延長しません。税引前後やリスクの扱いも、CFと割引率でそろえます。
基準年、発生時点、物価仮定、CFの名目・実質、割引率の名目・実質を並べます。公共事業資料の価格基準の考え方を参照しても、企業の投資に使う割引率を公的な社会的割引率へ一律に置き換えるものではありません。確認3問では、対応する率、乗算関係、金額の物価調整を確かめます。
公認会計士短答式試験 / 管理会計論
物価上昇と投資評価|名目と実質の前提をそろえる
投資評価の前提と不確実性
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1. 公共事業評価の費用便益分析に関する技術指針(共通編)(令和5年9月)
国土交通省
該当箇所: 第2章第3節第1項「社会的割引率」、第3項「評価の対象期間等の設定」
出典を開く差 |
9.2%−9.0% |
0.2ポイント |
率が小さければ単純合計は近似として使えますが、厳密な等式ではありません。名目率から実質率を戻すときも、(1+名目率)÷(1+物価率)−1とし、物価率を単に引く方法と区別します。
基準を混ぜた計算 |
208÷1.05 |
約198.10万円・不整合 |
両方の正しい方法が一致するのは、208万円の中の物価上昇分が、対応する名目率の中の物価要因と整合するためです。初期投資が時点0の金額なら、これをさらに1年分割り引く必要はありません。NPVでは、同じ時点へ戻した将来CFの合計から初期投資を引きます。
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