利益率と回転率の組合せ比較|総資産営業利益率を分解する
総資産営業利益率を、売上高営業利益率と総資産回転率に分解します。利益率だけでは分からない事業構造の違いを比較し、改善案が収益性に与える影響を計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
総資産営業利益率を、売上高営業利益率と総資産回転率に分解します。利益率だけでは分からない事業構造の違いを比較し、改善案が収益性に与える影響を計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
総資産営業利益率=売上高営業利益率×総資産回転率=営業利益÷平均総資産
売上高営業利益率は売上に対して残る本業の利益を表す。一方、総資産営業利益率は、保有する資産に対してどれだけ営業利益を得たかを示します。同じ営業利益率でも、必要な設備や在庫が多い会社と少ない会社では、資産全体に対する収益性は異なります。中小機構の経営自己診断システムは、総資本営業利益率を総資本回転率と売上高営業利益率へ分解しています。ここでは総資本を貸借対照表の資産合計と対応させ、期間比較には期首・期末の平均総資産を使います。
総資産営業利益率=営業利益÷平均総資産であり、売上高営業利益率×総資産回転率とも表せます。営業利益率は営業利益÷売上高、回転率は売上高÷平均総資産なので、積を取ると共通の売上高が消える。売上と営業利益は同じ1年間、平均総資産も同じ事業範囲にします。連結売上を単体資産で割ったり、経常利益率を営業利益率として使ったりすると比較の目的が変わります。税率や利息を含めない本業の比較をしたいなら、営業利益を用いることを報告書に書く。
金額を万円として、甲社は年商2,000、営業利益160、平均総資産2,000、乙社は年商3,000、営業利益150、平均総資産1,500とします。甲社は営業利益率8%、回転率1回で、総資産営業利益率は8%。乙社は営業利益率5%、回転率2回で、総資産営業利益率は10%となります。甲社の利益率が高いという事実と、乙社の資産当たり利益が高いという事実は両立します。高付加価値で設備を多く使う事業と、薄利でも回転が速い事業を一つの利益率だけで評価しません。
既存事業の売上が同じでも、遊休資産を処分できれば回転率は上がる。ただし必要な設備まで売って将来売上が落ちるなら、固定した前提を見直す必要があります。価格を下げて売上を増やす案も、回転率の上昇と利益率の低下を同時に見積もります。単独の指標を改善する案を優先せず、予想営業利益と予想平均総資産を直接割って、分解式の積と一致するか確かめます。売却損益のような一時的な項目は、営業利益へ含める想定かどうかも整理します。
利益率が低いから経営が悪い、回転率が高いから設備投資が不要、といった結論は早い。同業でも店舗保有か賃借か、外注か内製かで資産規模が変わります。営業利益がマイナスの場合には、資産を小さくしただけで比率がより低くなることもあり、通常の正の利益を前提とする改善説明を使い回せない。また平均総資産は期首・期末の二時点だけでは年度途中の大きな投資を十分に表さない。月次残高や稼働開始日が分かれば、その情報も補足します。
比較結果は、販売条件、商品構成、在庫滞留、設備利用の順に具体化します。例えば在庫削減で回転率が上がったなら、欠品や納期遅延が増えていないかも確認します。設備投資直後は収益が十分に生まれるまで時間がかかるので、単年度の低下と投資全体の採算を分けて検討します。数値の算出方法をそろえたうえで事業の実態を尋ねれば、指標が違う理由を特定しやすい。分解は改善余地を探す入口であり、利益率と回転率のどちらも無条件に最大化することが目的ではありません。
公認会計士短答式試験 / 管理会計論
利益率と回転率の組合せ比較|総資産営業利益率を分解する
財務分析の応用