ROEの3要素分解|利益率・回転率・財務レバレッジの変化を読む
ROEを利益率、総資産回転率、財務レバレッジへ分解し、同じ指標の上昇でも事業の改善と資本構成の変化を区別します。置換順序を定めた差額分析と比較上の注意も確認します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
ROEを利益率、総資産回転率、財務レバレッジへ分解し、同じ指標の上昇でも事業の改善と資本構成の変化を区別します。置換順序を定めた差額分析と比較上の注意も確認します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
ROE=売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ。資産・自己資本は同一期間の平均残高でそろえる。
ROEは自己資本に対する当期純利益の割合です。売上高純利益率、総資産回転率、財務レバレッジへ分解すると、売上から利益を得る力、資産を売上へ結び付ける効率、自己資本に対する資産規模を分けて検討できます。高低の順位だけでなく、どの要因で変わったかを調べるために使います。
ここでは1年間の単体決算を対象に、総資産と自己資本へ同一期間の平均残高を用います。利益と売上高も同じ会社・期間にそろえます。平均の計算方法を変えたり、連結利益と単体資産を混ぜたりすると、分解式の対応が崩れます。
要素 | 定義 | 設例の値 |
|---|---|---|
売上高純利益率 | 当期純利益÷売上高 | 36÷900=4% |
総資産回転率 | 売上高÷平均総資産 | 900÷500=1.8回 |
前期は純利益率3%、総資産回転率2回、財務レバレッジ2.5倍、当期は4%、1.8回、2.5倍とします。前期ROE15%から当期18%へ、3ポイント上がった理由を、利益率→回転率→レバレッジの順で置き換えます。
置換の段階 | ROE | 前段階との差 |
|---|---|---|
すべて前期 | 3%×2×2.5=15% | ― |
利益率だけ当期へ | 4%×2×2.5=20% | +5ポイント |
利益率と回転率が変わらず、自己資本の減少によってレバレッジだけが上がった場合、ROEの上昇だけで商品採算や資産効率が改善したとはいえません。自己資本が減った理由、借入、利払い、返済条件を確認します。同じROEでも構成によって需要減や金利上昇への耐性は違います。
自己資本が非常に小さいと比率は大きく振れます。平均自己資本ゼロでは通常の比率を計算できず、マイナスでは赤字でも正のROEが出るなど、一般的な高低比較が成立しません。分母の状態を示し、利益額、資産収益性、資金繰りを別に確認します。
利益率は価格・原価・販売費・一時的損益へ、回転率は売上規模・債権・在庫・設備へ掘り下げます。新工場を先に稼働した時期の回転率低下などは、投資目的と将来計画も確認します。季節性が強ければ期首・期末平均だけでなく月次平均も検討します。確認3問では三要素の対応、範囲の統一、上昇理由の解釈を扱います。
公認会計士短答式試験 / 管理会計論
ROEの3要素分解|利益率・回転率・財務レバレッジの変化を読む
財務分析の応用
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1. 財務の基礎知識
独立行政法人中小企業基盤整備機構(J-Net21)
該当箇所: 「1.利益を生む力を見る収益性分析」及び図表「収益性分析と安全性分析の代表的な指標(比率)」〈収益性分析〉〈生産性分析〉
出典を開く平均総資産÷平均自己資本 |
500÷200=2.5倍 |
ROE | 上の三要素の積 | 4%×1.8×2.5=18% |
金額の単位はすべて万円です。途中の売上高900と平均総資産500が分子・分母で約分され、36÷200=18%へ戻ります。利益率を0.04として掛けた場合、最後に100を掛けて%表示へ直します。回転率やレバレッジへ%を付けるものではありません。
回転率も当期へ |
4%×1.8×2.5=18% |
−2ポイント |
レバレッジも当期へ | 4%×1.8×2.5=18% | 0ポイント |
差の合計 | 18%−15% | +3ポイント |
利益率の改善が5ポイント押し上げ、回転率の低下が2ポイント押し下げた、という順序を定めた分解です。すべての差を前期値で固定して足す方法では交差する変化が残ることがあります。置換順序で配分額が変わり得るため、方法を明示します。各要素の因果関係が独立であると証明する分析でもありません。
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