敷金から控除される原状回復費用の計算
賃借建物の原状回復義務に関連して、敷金のうち最終的に回収できないと見込まれる金額を合理的に見積もり、平均的な入居期間へ配分します。毎期の敷金償却額、敷金帳簿価額、退去時の返還額との差額を計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月24日
賃借建物の原状回復義務に関連して、敷金のうち最終的に回収できないと見込まれる金額を合理的に見積もり、平均的な入居期間へ配分します。毎期の敷金償却額、敷金帳簿価額、退去時の返還額との差額を計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月24日
回収不能見込額 = 敷金支払額 - 最終返還見込額
年間敷金償却額 = 回収不能見込額 ÷ 平均的な入居期間
当期敷金償却額 = 年間敷金償却額 × 当期使用月数 ÷ 12
期末敷金帳簿価額 = 期首敷金帳簿価額 - 当期敷金償却額
退去時精算差額 = 実際返還額 - 退去直前敷金帳簿価額
精算差額が負なら損失、正なら利益
回収不能見込額 = 敷金支払額 − 最終返還見込額
年間敷金償却額 = 回収不能見込額 ÷ 平均的な入居期間
期中契約の場合は、問題文の月割条件に従います。
当期敷金償却額 = 年間敷金償却額 × 当期使用月数 ÷ 12
期末敷金帳簿価額 = 期首敷金帳簿価額 − 当期敷金償却額
退去時の精算は次のとおりです。
退去時精算差額 = 実際返還額 − 退去直前の敷金帳簿価額
上式が負なら、その絶対額が損失です。正なら利益です。
本例は企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」を早期適用しない従来の処理を前提とします。新基準適用後は、契約内容と関連する適用指針を確認してください。
建物等の賃借契約で原状回復が求められ、敷金の一部が返還されないと見込まれる場合に、次の金額を計算できるようになります。
敷金の回収不能見込額
当期の敷金償却額
各期末の敷金帳簿価額
退去時の実際返還額と帳簿価額との差額
このページでは、敷金に関連する原状回復部分について、資産除去債務の負債計上と対応する除去費用の資産計上に代えて、敷金の回収が最終的に見込めない金額を合理的に見積もり、当期負担額を費用計上する方法を扱います。
敷金の全額を費用にするのではありません。退去時に返還される見込額は資産として残し、原状回復費用への充当等により返還されないと見込む部分だけを期間配分します。
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端数処理年割・月割で端数が生じる場合は問題文の指示に従う。退去時は、それまでの丸めを反映した敷金帳簿価額と実際返還額を比較し、残高が0円になるよう差額を処理する。
補足契約期間と平均的な入居期間を区別する。敷金全額ではなく回収不能見込額だけを費用配分し、敷金償却法と資産除去債務の原則法を同じ部分に二重適用しない。
退去時には、帳簿上の敷金残高と実際返還額を比較します。実際返還額が帳簿残高を下回る場合は差額が損失、上回る場合は差額が利益となります。科目名は設問又は会社の表示方針に従います。
敷金支払額、返還不能見込額、契約期間、平均的な入居期間、実際の入居開始日を分けて確認します。契約期間3年、平均入居期間5年という資料なら、直ちに3年償却と決めません。
「敷金のうち原状回復費用として返還されない見込額」が明示されている場合、その金額を回収不能見込額として使います。敷金全体から同額を毎期控除するのではなく、見込使用期間へ配分します。
退去時には、累計償却額だけでなく、敷金勘定に残っている帳簿価額を実際返還額と比較します。
X1年4月1日、事務所の賃貸借契約を締結し、敷金900,000円を支払いました。契約期間は3年ですが、同種物件の平均的な入居期間は5年です。敷金のうち300,000円は、退去時の原状回復費用に充てられ、最終的に返還されないと見込まれます。
会社は、敷金に関連する部分について、資産除去債務を計上する方法に代えて敷金を償却する方法を採用します。実際には5年間入居し、X6年3月31日に退去しました。退去時の実際返還額は570,000円でした。
年間償却額、各年末の敷金帳簿価額、退去時の精算差額を求めます。
年間敷金償却額 = 300,000円 ÷ 5年 = 60,000円
契約期間3年ではなく、平均的な入居期間5年で配分します。
年度末 | 当期償却額 | 累計償却額 | 敷金帳簿価額 |
|---|---|---|---|
X2年3月31日 | 60,000円 | 60,000円 | 840,000円 |
X3年3月31日 | 60,000円 | 120,000円 | 780,000円 |
X4年3月31日 | 60,000円 | 180,000円 | 720,000円 |
X5年3月31日 | 60,000円 | 240,000円 | 660,000円 |
X6年3月31日 | 60,000円 | 300,000円 | 600,000円 |
5年間で、回収不能見込額300,000円を全額費用配分し、敷金帳簿価額は当初の最終返還見込額600,000円となります。
退去直前の敷金帳簿価額 = 600,000円
実際返還額 = 570,000円
精算差額 = 570,000円 − 600,000円 = △30,000円
実際返還額が帳簿価額を30,000円下回ったため、30,000円の損失です。
(借)敷金 900,000円 / (貸)現金預金 900,000円
(借)敷金償却 60,000円 / (貸)敷金 60,000円
(借)現金預金 570,000円、敷金精算損 30,000円 / (貸)敷金 600,000円
「敷金償却」「敷金精算損」は計算内容を示すための科目例です。実際の科目名は設問の指定に従います。
敷金支払額900,000円 − 累計償却額300,000円 = 退去直前帳簿価額600,000円
実際返還額570,000円 + 精算損30,000円 = 帳簿価額600,000円
また、当初見込んだ返還額は900,000円−300,000円=600,000円です。実際返還額はこれより30,000円少なかったため、退去時に追加損失が生じています。
敷金900,000円の全額を5年で償却する
回収不能見込額300,000円を契約期間3年で配分する
毎年、敷金残高へ一定率を掛ける定率計算を行う
退去時に、実際返還額と当初敷金900,000円を直接比較する
退去直前の敷金帳簿価額600,000円をそのまま損失にする
敷金償却法を採用しているのに、同じ部分について資産除去債務と関連資産も二重計上する
敷金500,000円を支払い、そのうち180,000円が原状回復費用として返還されないと見込まれます。契約期間は4年、同種物件の平均的な入居期間は6年です。期首から使用を開始した場合の年間敷金償却額と、2年経過後の敷金帳簿価額を求めてください。
敷金600,000円、回収不能見込額180,000円、平均的な入居期間6年です。4年間償却した直後に退去し、実際返還額は450,000円でした。退去直前の敷金帳簿価額と精算差額を求め、仕訳を示してください。
年間敷金償却額 = 180,000円 ÷ 6年 = 30,000円
2年間の累計償却額 = 30,000円 × 2年 = 60,000円
2年経過後の敷金帳簿価額 = 500,000円 − 60,000円 = 440,000円
契約期間4年ではなく、平均的な入居期間6年で配分します。
年間敷金償却額 = 180,000円 ÷ 6年 = 30,000円
4年間の累計償却額 = 30,000円 × 4年 = 120,000円
退去直前の敷金帳簿価額 = 600,000円 − 120,000円 = 480,000円
精算差額 = 450,000円 − 480,000円 = △30,000円
30,000円の損失です。
(借)現金預金 450,000円、敷金精算損 30,000円 / (貸)敷金 480,000円
4年で退去したため、当初見込んだ回収不能部分のうち未償却額60,000円も、実際返還額との比較に含まれて精算されます。
期中に入居を開始した場合は、年間償却額を当期の使用月数で月割します。月数の数え方は問題文に従います。
平均的な入居期間の見積りが変わった場合は、変更時点の敷金帳簿価額と最新の返還見込額を確認し、残る回収不能見込額を残存入居期間へ配分する問題があります。
敷金に関連しない原状回復義務が別にある場合や、敷金償却法を採用しない場合は、資産除去債務を現在価値で負債計上し、対応する除去費用を関連資産へ加算する原則的な処理を検討します。
2026年10月24日確認。例題は学習用に作成しました。本文で指定した期間・計算方法・丸め方を用います。