有価証券の減損額の計算|時価・実質価額
時価のある有価証券と市場価格のない株式等について、帳簿価額、期末時価または時価評価後純資産に基づく実質価額から減損額を計算し、翌期の評価基礎を整理します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月24日
時価のある有価証券と市場価格のない株式等について、帳簿価額、期末時価または時価評価後純資産に基づく実質価額から減損額を計算し、翌期の評価基礎を整理します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月24日
時価のある有価証券の減損額 = 減損直前帳簿価額 - 期末時価
時価評価後純資産 = 時価評価後資産 - 負債
市場価格のない株式等の実質価額 = 時価評価後純資産 × 持分比率
市場価格のない株式等の減損額 = 帳簿価額 - 実質価額
低下率 = (帳簿価額 - 比較価額) ÷ 帳簿価額 × 100
時価のある有価証券と市場価格のない株式等では、減損後の比較価額を別々に求めます。
時価が著しく下落し、回復する見込みがないまたは不明である場合、帳簿価額を時価まで切り下げ、差額を当期損失へ計上します。
減損額 = 減損直前帳簿価額 − 期末時価
減損後帳簿価額 = 期末時価
このページでは、試験問題上の目安として50%以上の下落は減損対象とし、30%以上50%未満は問題文で示される合理的な基準や回復可能性により判断する構成です。実際の判定を下落率だけで機械的に決めるものではなく、問題文の条件を確認します。
減損処理は切放方式です。翌期に時価が上昇しても、過年度の減損損失を取り消しません。減損後帳簿価額を基礎として、保有目的に応じた通常の評価を行います。
市場価格のない株式等は、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合、実質価額まで切り下げます。
発行会社の時価評価後純資産額 = 時価評価後資産 − 負債
実質価額 = 発行会社の時価評価後純資産額 × 当社持分比率
減損額 = 帳簿価額 − 実質価額
実質価額の計算では、土地などの含み損益が与えられている場合、発行会社の資産を時価へ修正してから純資産を求めます。
低下率は判定用に問題文指定の小数位で求め、減損額は円または千円単位の指示に従う。比率を丸めてから減損額を逆算せず、実質価額と帳簿価額の差から直接求める。
本記事は、2026年10月改正を適用する前の日本基準による学習計算です。改正基準は原則2030年4月1日以後開始年度、早期適用は2027年4月1日以後開始年度からです。予想信用損失モデル等の適用後の計算とは区別してください。
有価証券の時価または実質価額が大きく低下した場合に、減損処理の対象となるかを問題文の条件から判断し、減損額と減損後帳簿価額を計算できるようになります。
時価のある有価証券と、市場価格のない株式等では、比較する価額の求め方が異なります。売買目的有価証券は通常の時価評価を行うため、このページの減損処理の対象には含めません。
次の2銘柄について減損額を求めます。
減損直前帳簿価額:300,000円
期末時価:132,000円
時価下落率:56%
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補足売買目的有価証券は減損処理の対象外。減損の要否は保有区分、著しい下落、回復見込み、問題文の判定条件を確認する。減損後は切放方式であり、過年度損失を洗い替えない。
回復見込み:不明
当社の帳簿価額:300,000円
当社持分比率:20%
B社の帳簿上資産:2,100,000円
上記資産には帳簿価額300,000円、時価400,000円の土地が含まれる
B社の負債:1,600,000円
時価は帳簿価額から56%下落し、回復見込みは不明です。問題文の条件により減損処理を適用します。
A社株式の減損額 = 300,000円−132,000円 = 168,000円
減損後帳簿価額 = 132,000円
土地には100,000円の含み益があります。
土地の時価評価差額 = 400,000円−300,000円 = 100,000円
時価評価後資産 = 2,100,000円+100,000円 = 2,200,000円
時価評価後純資産 = 2,200,000円−1,600,000円 = 600,000円
実質価額 = 600,000円×20% = 120,000円
帳簿価額300,000円に対して実質価額は120,000円で、60%低下しています。
B社株式の減損額 = 300,000円−120,000円 = 180,000円
減損後帳簿価額 = 120,000円
銘柄 | 減損直前帳簿価額 | 減損後帳簿価額 | 減損額 |
|---|---|---|---|
A社株式 | 300,000円 | 132,000円 | 168,000円 |
B社株式 | 300,000円 | 120,000円 | 180,000円 |
A社株式の翌期末時価が160,000円となり、引き続きその他有価証券として保有する場合を考えます。
過年度の減損損失168,000円は戻しません。減損後帳簿価額132,000円と当期末時価160,000円との差28,000円を、通常のその他有価証券評価差額として処理します。
当期の通常評価差額 = 160,000円−132,000円 = 28,000円
A社株式の減損時は、次の形です。
(借)投資有価証券評価損 168,000円 / (貸)投資有価証券 168,000円
B社株式が子会社株式または関連会社株式である場合は、関係会社株式評価損など、問題文で指定された勘定科目を用います。
A社株式は、減損直前帳簿価額から減損額を控除すると時価へ一致します。
300,000円−168,000円 = 132,000円
B社株式も同様です。
300,000円−180,000円 = 120,000円
実質価額は、時価評価後純資産600,000円の20%です。
600,000円×20% = 120,000円
売買目的有価証券へ減損処理を適用する。
下落率だけを見て、回復見込みや問題文の判定条件を確認しない。
時価のある株式で、減損額を取得原価と前期末時価との差として計算する。
市場価格のない株式の実質価額を、発行会社の帳簿純資産だけで求め、資産の時価評価差額を反映しない。
発行会社の純資産全額を当社の実質価額とし、持分比率を掛けない。
減損仕訳を翌期首に洗い替える。
翌期の時価上昇を過年度減損損失の戻入れとして処理する。
減損後の満期保有目的債券について、減損後帳簿価額と額面金額との差を新たな金利調整差額として償却する。
その他有価証券として保有する上場株式の帳簿価額は500,000円、期末時価は225,000円です。時価は55%下落していますが、期末後短期間に480,000円まで回復する合理的な証拠が問題文で明示されています。全部純資産直入法を採用し、税効果会計は考慮しません。
減損処理の要否と、減損を行わない場合の通常評価差額を答えてください。
市場価格のないJ社株式の帳簿価額は700,000円、持分比率は25%です。J社の帳簿上資産は3,000,000円で、その中に帳簿価額500,000円、時価800,000円の土地が含まれています。負債は2,300,000円です。問題文では実質価額が50%以上低下した場合に減損処理を行うものとします。
J社株式の実質価額、低下率、減損額を求めてください。
時価は大きく下落していますが、回復する合理的な証拠が明示されています。この問題条件では減損処理を行わず、保有目的に従った通常の時価評価を行います。
通常評価差額 = 225,000円−500,000円 = △275,000円
全部純資産直入法なので、税効果適用前の275,000円の評価差損をその他有価証券評価差額金として純資産へ計上します。
土地の時価評価差額 = 800,000円−500,000円 = 300,000円
時価評価後資産 = 3,000,000円+300,000円 = 3,300,000円
時価評価後純資産 = 3,300,000円−2,300,000円 = 1,000,000円
実質価額 = 1,000,000円×25% = 250,000円
低下額 = 700,000円−250,000円 = 450,000円
低下率 = 450,000円÷700,000円×100 = 約64.3%
問題文の基準を満たすため、減損額は450,000円、減損後帳簿価額は250,000円です。
時価のある債券に減損処理を適用する場合、減損直前までの償却原価法を先に反映し、その帳簿価額と時価との差を減損額とします。
その他有価証券の通常評価差額が前期末から残っている場合は、減損処理に先立って、問題文の洗替方式や前残高試算表の構成を確認します。減損後は切放方式となります。
市場価格のない株式等では、発行会社の資産・負債の時価情報が与えられた範囲で実質価額を算定します。資料で裏付けられていない含み損益を推定して加減しません。
2026年10月24日確認。例題は学習用に作成しました。本文で指定した期間・計算方法・丸め方を用います。