固定資産の減損損失の計算|認識判定から回収可能価額まで
固定資産の減損について、当期の減価償却後の帳簿価額を確定し、割引前将来キャッシュ・フローで認識を判定した後、正味売却価額と使用価値から回収可能価額を求めます。減損損失と減損後の減価償却費まで、一連の計算順序を例題で確認します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月24日
固定資産の減損について、当期の減価償却後の帳簿価額を確定し、割引前将来キャッシュ・フローで認識を判定した後、正味売却価額と使用価値から回収可能価額を求めます。減損損失と減損後の減価償却費まで、一連の計算順序を例題で確認します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月24日
帳簿価額 = 取得原価 - 減価償却累計額
認識判定: 割引前将来キャッシュ・フロー総額 < 帳簿価額なら減損損失を認識
正味売却価額 = 現在の時価 - 処分費用見込額
使用価値 = Σ[各期の将来キャッシュ・フロー ÷ (1 + 割引率)^経過年数]
回収可能価額 = max(正味売却価額, 使用価値)
減損損失 = 帳簿価額 - 回収可能価額
減損後の定額法償却費 = (減損後帳簿価額 - 残存価額) ÷ 残存耐用年数
帳簿価額 = 取得原価 − 減価償却累計額
認識判定:割引前将来キャッシュ・フロー総額 < 帳簿価額なら、減損損失を認識する
正味売却価額 = 現在の時価 − 処分費用見込額
使用価値 = 各期の将来キャッシュ・フロー ÷(1+割引率)の経過年数の累計
回収可能価額 = 正味売却価額と使用価値のうち高い方
減損損失 = 帳簿価額 − 回収可能価額
定額法による減損後の減価償却費は、次の式で求めます。
翌期以降の減価償却費 =(減損後帳簿価額 − 残存価額)÷ 残存耐用年数
本文の例題では各年の現在価値を円未満四捨五入し、その合計を使用価値とする。実際の設問では、係数表・途中計算・最終回答のどの段階で丸めるかを問題文の指示に合わせる。
固定資産の減損計算を、次の順序で再現できるようになります。
当期の減価償却後の帳簿価額を確定する
割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較する
認識が必要な場合だけ、正味売却価額と使用価値を求める
回収可能価額まで帳簿価額を減額する
減損後の帳簿価額から翌期以降の減価償却費を計算する
減損では、「認識判定に使う金額」と「損失額の測定に使う金額」が異なります。割引前将来キャッシュ・フローと帳簿価額との差額を、そのまま減損損失にしないことが最重要です。
固定資産の収益性が低下していても、直ちに減損損失を計上するわけではありません。減損の兆候がある資産又は資産グループについて、まず割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回るかを確認します。
割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額以上なら、この認識判定では減損損失を計上しません。使用価値が帳簿価額より小さくても、認識判定を通過しない限り、使用価値だけを理由に損失を計上しない点に注意します。
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補足認識判定では割引前総額、測定では回収可能価額を使う。使用価値の割引率は年率又は期間率をキャッシュ・フローの期間とそろえ、百分率を小数へ直して計算する。
認識が必要な場合、回収可能価額を求めます。回収可能価額は、現在売却した場合の正味回収額である正味売却価額と、継続使用及び最終処分から得られる将来キャッシュ・フローの現在価値である使用価値のうち、高い方です。
問題文に取得原価、減価償却累計額、当期減価償却費が別々に示されている場合は、累計額が当期分を含むかを確認します。減損の適用は当期の減価償却費を計上した後に行うため、当期分を二重に控除してはいけません。
将来キャッシュ・フローは、認識判定用の割引前総額と、使用価値算定用の割引後現在価値に分けます。認識判定の段階で割引を行わず、測定段階で使用価値を求めるときに割引率を使います。
使用価値には、継続使用中の正味キャッシュ・フローだけでなく、使用後の処分による正味収入も含めます。将来キャッシュ・フローと割引率に同じリスクを二重に反映しないようにします。
X1年3月31日、設備に減損の兆候が認められました。次の資料により、減損損失と翌期の減価償却費を求めます。
取得原価:1,800,000円
X1年3月31日現在の減価償却累計額:720,000円。当期分を含む
今後4年間の営業活動から得られる正味キャッシュ・フロー:1年後280,000円、2年後230,000円、3年後190,000円、4年後150,000円
4年後の使用終了時に得られる正味処分収入:50,000円
現在の時価:830,000円
現在売却する場合の処分費用見込額:25,000円
使用価値の割引率:年5%
減損後の残存耐用年数:4年
残存価額:20,000円
円未満は四捨五入する
帳簿価額 = 1,800,000円 − 720,000円 = 1,080,000円
減価償却累計額720,000円には当期分が含まれているため、当期減価償却費をさらに控除しません。
4年後は、営業活動による150,000円と処分収入50,000円の両方を含めます。
割引前将来キャッシュ・フロー総額 = 280,000円 + 230,000円 + 190,000円 + 150,000円 + 50,000円 = 900,000円
900,000円 < 1,080,000円
割引前総額が帳簿価額を下回るので、減損損失を認識します。ただし、この段階の不足額180,000円が減損損失ではありません。
正味売却価額 = 830,000円 − 25,000円 = 805,000円
4年後のキャッシュ・フローは、営業活動150,000円と処分収入50,000円を合計した200,000円です。
時点 | 将来キャッシュ・フロー | 現在価値 |
|---|---|---|
1年後 | 280,000円 | 280,000円÷1.05=266,667円 |
2年後 | 230,000円 | 230,000円÷1.05²=208,617円 |
3年後 | 190,000円 | 190,000円÷1.05³=164,129円 |
4年後 | 200,000円 | 200,000円÷1.05⁴=164,540円 |
使用価値 = 266,667円 + 208,617円 + 164,129円 + 164,540円 = 803,953円
正味売却価額805,000円 > 使用価値803,953円
回収可能価額 = 805,000円
減損損失 = 1,080,000円 − 805,000円 = 275,000円
減損後の帳簿価額は805,000円です。
翌期の減価償却費 =(805,000円 − 20,000円)÷ 4年 = 196,250円
減損損失を固定資産から直接控除する場合は、次のように処理します。
(借)減損損失 275,000円 / (貸)設備 275,000円
減損後の設備帳簿価額は805,000円です。翌期以降は、この減額後の帳簿価額を基礎として減価償却を行います。
認識判定と測定を別々に確認します。
認識判定の不足額 = 1,080,000円 − 900,000円 = 180,000円
測定した減損損失 = 1,080,000円 − 805,000円 = 275,000円
両者が異なることが正しい結果です。また、減損後帳簿価額と翌期以降の償却対象額は次のように照合できます。
805,000円 − 20,000円 = 785,000円
196,250円 × 4年 = 785,000円
帳簿価額と割引前将来キャッシュ・フローの差180,000円を減損損失にする
認識判定で使用価値803,953円を使う
回収可能価額を正味売却価額と使用価値の低い方にする
当期分を含む減価償却累計額から、当期減価償却費をもう一度控除する
4年後の処分収入50,000円を割引前総額又は使用価値から落とす
減損後も、減損前の帳簿価額を基礎に減価償却を続ける
減損の兆候がある設備の帳簿価額は800,000円、割引前将来キャッシュ・フロー総額は820,000円、正味売却価額は720,000円、使用価値は750,000円です。減損損失を認識するか、認識する場合はいくらかを答えてください。
減損の兆候がある建物について、当期減価償却後の帳簿価額は1,200,000円、割引前将来キャッシュ・フロー総額は1,000,000円、正味売却価額は840,000円、使用価値は920,000円です。残存価額40,000円、残存耐用年数4年とします。減損損失と翌期の定額法による減価償却費を求めてください。
820,000円 ≧ 800,000円
割引前将来キャッシュ・フロー総額が帳簿価額以上なので、減損損失を認識しません。使用価値750,000円や正味売却価額720,000円が帳簿価額を下回っていても、認識判定を通過しないため、減損損失は0円です。
1,000,000円 < 1,200,000円
認識が必要です。回収可能価額は正味売却価額840,000円と使用価値920,000円の高い方なので、920,000円です。
減損損失 = 1,200,000円 − 920,000円 = 280,000円
翌期減価償却費 =(920,000円 − 40,000円)÷ 4年 = 220,000円
将来キャッシュ・フローを複数のシナリオから求める問題では、問題文の指定に従い、最も可能性の高い単一額又は発生確率による期待値を用います。認識判定では、その見積額を割り引かずに合計します。
使用価値の算定でリスクを将来キャッシュ・フロー側に織り込んだ場合、同じリスクを割引率へ重ねて加えません。逆に、リスクを割引率へ反映する場合は、キャッシュ・フロー側で二重調整しません。
資産が単独で概ね独立したキャッシュ・フローを生まない場合は、資産グループを単位として認識・測定し、算定した損失を構成資産へ配分します。
2026年10月24日確認。例題は学習用に作成しました。本文で指定した期間・計算方法・丸め方を用います。