株主総会の決議の省略|全員同意の対象と記録を確認する
会社法319条は、一定の提案に議決権を行使できる株主全員が書面等で同意したとき、可決の決議があったものとみなす制度です。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
会社法319条は、一定の提案に議決権を行使できる株主全員が書面等で同意したとき、可決の決議があったものとみなす制度です。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
最初に押さえる結論と判断規範
会社法319条は、一定の提案に議決権を行使できる株主全員が書面等で同意したとき、可決の決議があったものとみなす制度です。
取締役または株主が総会の目的事項について提案し、その事項について議決権を行使できる株主の全員が、書面または電磁的記録によって同意すると、会社法319条により可決の決議があったものとみなされます。多数決の賛成率を引き上げる制度とは仕組みが違います。
全員というときの範囲は、その提案について議決権を行使できる株主です。議決権の有無は事項ごとに確認します。ある事項について議決権がない株主も別の事項では議決権を持つ場合があるため、会社全体で固定した一覧だけで判断しないようにします。
口頭で賛成したことだけでは、319条の書面または電磁的記録による同意という要件を満たしません。また、「会社の方針に賛成する」といった包括的な言葉だけで、どの提案に同意したのかが分からない状態は避けます。提案内容と同意の対応を確かめます。
書面を集める場合も、提案の版や内容が途中で変わっていないかを確認します。別々の案に同意した書面を集めても、一つの提案について全員が同意したことにはなりません。同意した者、対象事項、同意の記録を整理することが必要です。
株主A・B・Cがそれぞれ60%、30%、10%の議決権を持ち、その提案について全員が議決権を行使できるとします。AとBが書面で同意しても、Cの同意がなければ319条の全員同意にはなりません。90%が賛成していることと、決議の省略の要件を満たすことは別です。
通常の総会を開催した場合の可決要件を満たし得るかどうかは、提案内容に対応する別の判断です。319条を使いたい場面で「特別決議の3分の2を超えたから省略できる」と考えてはいけません。制度ごとの要件を使います。
決議があったものとみなされた日から10年間、同意の書面や電磁的記録を本店に備え置きます。株主や債権者の閲覧等についても319条に規定があります。実際に集まらなかったから議事に関する記録を残さなくてよい、という制度ではありません。
定時株主総会の目的事項の全てについてこの方法で可決された場合には、同条5項が定時株主総会の終結をみなす場面を定めています。一部の議案だけが対象になった場合と、全てが対象になった場合も区別して読みます。
同意のメールを送らなかった株主から、後日「反対ではなかった」と説明がありました。これだけで当初から全員の同意がそろっていたとしてよいでしょうか。そのように扱えません。書面または電磁的記録による同意の意思表示が、提案ごとに全員分あるかを確認する必要があります。
公認会計士短答式試験 / 企業法
株主総会の権限と決議の基本を説明し、問題に答える
株主総会の権限と決議
会社法
会社法 第319条
1. 会社法(e-Gov法令検索)
デジタル庁 e-Gov
該当箇所: 会社法 第319条
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