現金対価の新株予約権を発行から失効まで追う
現金のみを対価に発行する新株予約権について、発行時、行使時、自己株式交付時及び失効時を区別します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
現金のみを対価に発行する新株予約権について、発行時、行使時、自己株式交付時及び失効時を区別します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
最初に押さえる結論と判断規範
現金のみを対価に発行する新株予約権について、発行時、行使時、自己株式交付時及び失効時を区別する。
ここでは、会社が現金のみを対価として新株予約権を発行する取引を考えます。従業員のサービスを対価とするストック・オプションや、新株予約権付社債の社債部分とを混ぜないことが出発点となります。発行に伴って受け取った払込金額は、純資産の部に新株予約権として計上します。まだ株式が交付されていないため、発行時点でその全額を資本金へ入れるわけではありません。また、現金を受け取った事実を理由に売上高や受取手数料として収益にするものでもない。権利の保有者が行使する可能性があることと、すでに株主資本となっていることは別です。決算で残高を確かめる際には、発行された権利、行使された権利、失効した権利をそれぞれ把握し、未行使かつ未失効の部分を残す。
権利が行使されて新株を発行する場合、発行時に受け取って新株予約権として計上していた金額と、行使に伴って新たに払い込まれる金額を合わせて払込資本へ振り替える。例として、新株予約権100個を総額20万円で発行し、そのうち60個が行使されて現金300万円を受け入れたとします。すべての権利の発行条件は同一です。このとき取り崩す新株予約権は20万円の60個分である12万円であり、払込資本の増加総額は312万円となります。未行使の40個に対応する8万円まで振り替えることはできません。資本金と資本準備金への具体的な配分は別に確認するが、両者の合計額を求める場面では、この二つの払込額の合計をまず押さえる。
権利行使に対して新株を発行せず、保有する自己株式を交付する場合には、自己株式の処分として考えます。処分の対価は、行使された部分の新株予約権の帳簿価額と行使時の払込額との合計であり、それを交付する自己株式の帳簿価額と比べる。たとえば行使対応の新株予約権が10万円、行使払込額が100万円、交付する自己株式の簿価が90万円なら、対価110万円と簿価90万円との差20万円が自己株式処分差益となります。この差益はその他資本剰余金へ加算します。行使時の現金100万円だけを対価として差益10万円とするのは、以前の払込額が権利として残っている点を見落とした計算です。新株発行と自己株式の交付では、取り崩す勘定と資本内の振替先が異なります。
行使されないまま権利行使期間が満了し、失効が確定した部分は、その対応額を失効が確定した会計期間の利益として処理します。原則的な表示は特別利益です。行使の見込みが低くなったという予想だけで、未失効の新株予約権を取り崩さない。先ほどの100個の例で残る40個がすべて行使期間満了により失効したなら、残高8万円を利益へ振り替えることになります。発行時には収益にしなかった払込額も、権利が行使されずに消滅した段階では処理が変わるのです。ただし、労働サービスとの交換として従業員に付与する権利には別の会計基準が適用されます。本稿の計算をそのままサービス対価の測定や費用配分へ流用せず、対価が現金のみか、どの取引の発行者側を扱っているかを最初に確定することが誤りを防ぐ。
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
現金対価の新株予約権を発行から失効まで追う
自己株式・新株予約権の応用