使用権資産の原価と償却|負債と同額とは限らない
前払い、付随費用、除去費用、インセンティブから開始日原価を求め、所有権の移転条件に応じて償却期間を判断します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
前払い、付随費用、除去費用、インセンティブから開始日原価を求め、所有権の移転条件に応じて償却期間を判断します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
最初に押さえる結論と判断規範
前払い、付随費用、除去費用、インセンティブから開始日原価を求め、所有権の移転条件に応じて償却期間を判断する。
リース開始日には負債だけでなく、原資産を使う権利を使用権資産として計上します。その原価はリース負債を出発点とし、開始日までに支払ったリース料、付随費用、資産除去債務に対応する除去費用を加え、受領したリースインセンティブを控除します。したがって開始日の資産と負債が必ず同じ額になるわけではありません。前払いや借手負担の初期支出を無視して同額にそろえると、将来の費用配分も誤る。
一方、リースに関連して支出したというだけで、すべての一般管理費を原価へ加えるものでもない。付随費用に該当するか、除去費用の認識要件を満たすかなど、適用される定めと支出の性質を確認します。資産除去債務に対応する費用を加えることと、将来の現金支払見込額を割引なしでそのまま加えることも区別します。
金額を万円とします。リース負債二百、開始日までのリース料十、適切な付随費用五、資産除去債務に対応する除去費用八、受領インセンティブ三とします。他の原価要素がなければ、使用権資産は200+10+5+8−3=220となります。負債二百との二十の差は誤差ではなく、資産取得に対応する各調整の純額です。インセンティブを加算すると借手負担を逆に増やしてしまう。
この例の除去費用八は既に適切に測定された額です。除去債務の将来支払額をさらに八としてもう一度加えたり、開始日の前払十を未払負債へも重ねて入れたりしません。資産原価、リース負債、前払の消込み、現金、除去債務という勘定の対応を分けて仕訳を組む必要があります。
所有権が借手へ移転すると認められるリースでは、自ら原資産を所有したと仮定した場合と同じ方法により、経済的使用可能予測期間と合理的な残存価額を用いて償却します。それ以外のリースでは、定額法等から企業の実態に応じた方法を選択し、原則として借手のリース期間と残存価額零を用います。所有権の条件を確認せず、すべての使用権資産を同じ期間で償却しません。
上の原価二百二十について所有権移転がなく、リース期間五年、定額法、残存価額零、開始日から一年を通じて使用したなら、年償却費は220÷5=44です。期中に開始した場合には使用期間に対応させるため、年額をそのまま計上しません。割引率の一割等を資産償却率として流用する計算でもない。
使用権資産の償却費とリース負債の元本返済額は、別の基礎から計算されるため、毎期同額とは限りません。支払額、利息費用、償却費、資産残高、負債残高をそれぞれ追跡します。使用権資産には減損会計も適用されるため、回収可能性の低下を単に負債の減額で調整するものではありません。減損の要否と負債の契約上の支払義務は区別して検討します。
本稿は2026年4月1日時点で新リース基準を早期適用する企業を対象とします。強制適用は2027年4月1日以後開始する年度の期首からで、2025年4月1日以後開始する年度の期首から早期適用できます。設例の金額は税金や端数を含まず、前払、付随費用、除去費用はそれぞれ原価に含める条件を満たすと仮定します。資産の取得原価を組み立てた後、所有権、償却方法、期間、減損という順に確認します。負債の残高に資産の帳簿価額を機械的に合わせる方法は使わない。
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
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新リース基準の借手の基礎