会社法107条|全部の株式に付すことができる内容
会社法107条は、全部の株式に譲渡制限、取得請求権、取得条項を付すことを認めます。3つの内容の違い、定款で定める事項、108条の種類株式との関係を具体例で解説します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年10月24日
情報を確認した日:2026年10月24日
会社法107条は、全部の株式に譲渡制限、取得請求権、取得条項を付すことを認めます。3つの内容の違い、定款で定める事項、108条の種類株式との関係を具体例で解説します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年10月24日
情報を確認した日:2026年10月24日
原文から要件・効果までの読み順
法令上の文言をそのまま確認します
法令本文
株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。 一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。 二 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。 三 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。 2 株式会社は、全部の株式の内容として次の各号に掲げる事項を定めるときは、当該各号に定める事項を定款で定めなければならない。 一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 次に掲げる事項 イ 当該株式を譲渡により取得することについて当該株式会社の承認を要する旨 ロ 一定の場合においては株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をしたものとみなすときは、その旨及び当該一定の場合 二 当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項 イ 株主が当該株式会社に対して当該株主の有する株式を取得することを請求することができる旨 ロ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類(第六百八十一条第一号に規定する種類をいう。以下この編において同じ。)及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法 ハ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法 ニ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項 ホ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等(株式、社債及び新株予約権をいう。以下同じ。)以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法 ヘ 株主が当該株式会社に対して当該株式を取得することを請求することができる期間 三 当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項 イ 一定の事由が生じた日に当該株式会社がその株式を取得する旨及びその事由 ロ 当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは、その旨 ハ イの事由が生じた日にイの株式の一部を取得することとするときは、その旨及び取得する株式の一部の決定の方法 ニ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法 ホ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法 ヘ イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのニに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのホに規定する事項 ト イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
条文の意味を平易な言葉で整理します
107条は、発行する全部の株式に共通の内容を付ける規定です。第1号は株式の譲渡による取得に会社の承認を必要とする仕組み、第2号は株主から会社へ取得を請求できる仕組み、第3号は一定の事由が起きると会社が取得する仕組みです。
第2号と第3号は、会社が自己株式を取得する結果が似ていても、出発点が違います。株主の請求を起点とするのが取得請求権、定款で定めた事由を起点とするのが取得条項です。
甲社は、全株式の譲渡に会社の承認を要し、さらに株主が一定期間に会社へ取得を請求できる内容を定款に定めました。譲渡制限と取得請求権は異なる機能なので、併せて設計することを検討できます。ただし、「株主が会社に売りたい」と思っただけで取得請求が成立するのではなく、定款の具体的な内容と166条の条件を確認します。
この規定が置かれている理由
株主構成の維持、投資回収の仕組み、資本関係の調整など、会社と出資者の需要に合わせて株式の内容を設計できるようにします。他方、株式の重要な内容を会社が後から自由に変えられないよう、定款や変更手続による規律が設けられています。
規定が適用されるために必要な条件
ある種類だけに異なる内容を付す場合は108条を確認します。107条の3項目を、種類株式の9項目と同じ一覧として扱わないようにします。
第2項に従い、譲渡承認を要する旨、取得請求の対価や期間、取得事由、取得日や一部取得に関する内容などを定めます。名称を付けただけでは具体的な権利内容は確定しません。
定款変更の手続に加え、取得条項の新設等では110条、譲渡制限の新設等では反対株主保護に関する規定も確認します。
要件を満たしたときに生じる結果
適法な定款の定めにより、その内容を持つ株式として扱われます。ただし、譲渡承認の請求・決定や、実際に会社が取得する時点の手続は、それぞれ136条以下、166条以下が受け持ちます。107条だけで具体的な取得が完了するわけではありません。
原則どおりに扱わない場合
譲渡制限は株式の譲渡を全面的に禁止する制度ではありません。また、取得請求権と取得条項では財源規制や手続も異なります。権利内容の設計と実際の行使・取得を二段階で確認します。
試験で区別すべき判断軸
「譲渡承認」「株主からの取得請求」「一定事由による会社の取得」という3つの入口を区別します。取得という語だけで同一の制度と考えないことがポイントです。
107条1項2号の取得請求権と同項3号の取得条項は、何を起点に会社が取得する点で異なりますか。
取得請求権は株主の請求を起点とします。取得条項は定款に定めた一定の事由の発生を起点とし、会社が定める日を取得事由とする設計もあります。
全部の株式に譲渡制限を付した会社では、株式を他人に譲ることが法律上一切できなくなりますか。
なりません。会社の承認を要する制度です。承認請求と、不承認の場合の買取手続などを136条以下で確認します。
2026年10月24日時点で施行されている会社法をe-Gov法令APIの時点指定で取得し、条文原文欄を全文照合しています。解説と確認問題は制度理解のための独自設例です。関連条文は制度間のつながりを示しており、個別の法律問題の結論は事実関係と適用法令に従って確認します。
公認会計士短答式試験 / 企業法
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会社法107条
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会社法 株式の内容についての特別の定め
第107条
1. 会社法(e-Gov法令検索)
デジタル庁 e-Gov
該当箇所: 第107条
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