貸倒見積りの基準|一般債権・貸倒懸念債権・破産更生債権等
債権の区分と貸倒見積り方法を結び付けます。債権残高全体へ同じ率を掛ける前に確認したい事項を整理します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
債権の区分と貸倒見積り方法を結び付けます。債権残高全体へ同じ率を掛ける前に確認したい事項を整理します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
目的から適用までの読み順
どの取引・事象に適用するか
債権の区分と貸倒見積り方法を結び付けます。債権残高全体へ同じ率を掛ける前に確認したい事項を整理します。
基準が求める主要な原則
基本的な取扱い
金銭債権の期末評価では、債務者の状況等を踏まえて貸倒れによる損失を見積もります。ここでは2026年4月1日時点の日本基準における、一般債権、貸倒懸念債権、破産更生債権等の基本的な考え方を扱います。 基準の改正案や後の改正を読んだ際には、適用時期と企業が採用している取扱いを確認し、異なる制度の計算方法を混ぜないようにします。
貸倒れの見積りでは、最初に債務者の状態を確かめます。一般債権、貸倒懸念債権、破産更生債権等では、使う資料も計算方法も異なります。売掛金全体へ同じ率を掛けてから個別評価を加えると、同じ債権を二重に評価するおそれがあります。個別評価の対象を先に取り分け、一般債権の残高を確定します。
本稿は2026年4月1日時点の日本基準による取扱いを説明します。後の改正基準を採用する場合は、適用時期と経過措置を別に確認します。ここでの区分別の計算と、異なる制度の見積りを混ぜません。
区分 | 債務者の状態 | 見積りの基本 |
|---|---|---|
一般債権 | 経営状態に重大な問題がない |
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
貸倒引当金の基本を説明し、問題に答える
貸倒引当金
企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準
第27項〜第28項(2026年4月1日時点の取扱い)
1. 企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準(2026年10月改正前の取扱いを参照)
企業会計基準委員会
該当箇所: 第27項、第28項(2026年4月1日時点の区分・算定方法)
出典を開く貸倒懸念債権 | 破綻には至らないが弁済に重大な問題がある、又は生じる可能性が高い | 財務内容評価法又は条件を満たすCF見積法 |
破産更生債権等 | 経営破綻又は実質的な破綻 | 担保・保証等による回収見込額を控除した残額 |
売掛金総額500万円のうち、貸倒懸念債権が100万円含まれています。残りは同種の一般債権で、合理的に求めた貸倒実績率は1%とします。一般債権の必要額は(5,000,000円−1,000,000円)×1%=40,000円です。500万円全額に率を掛けると、個別評価する100万円にも一般債権の率を適用してしまいます。
債権額100万円、担保の処分見込額20万円、保証による回収見込額10万円とします。担保・保証で回収できない残り70万円について、債務者の財政状態等から半額が回収不能と見積もられる例です。
必要額は(1,000,000円−200,000円−100,000円)×50%=350,000円です。この50%は設例で置いた見積りであり、貸倒懸念債権すべてに必ず適用する率ではありません。担保の額面ではなく処分見込額、保証契約の上限ではなく実際の回収見込額を使います。
別の貸倒懸念債権について、帳簿価額100万円、今後の元利金回収は1年後の84万円だけと合理的に見積もれるとします。当初の約定利子率は5%で、期末時点に未収利息等の別の残高はないものとします。キャッシュ・フロー見積法を適用する条件を満たした例です。
計算の段階 | 算式 | 金額 |
|---|---|---|
将来回収額の現在価値 | 840,000円÷1.05 | 800,000円 |
貸倒見積高 | 1,000,000円−800,000円 | 200,000円 |
割り引くのは、今後実際に受け取ると見込む元本と利息です。契約上の入金額を無条件に置いたり、現在の市場金利へ勝手に変更したりしません。入金が複数年に分かれるなら、各回収時点から期末まで割り引いて合計します。同じ債権の方法を利益調整のため毎期切り替えず、債務者の状態等が変わらない限り同じ方法を継続します。
債権80万円、担保回収25万円、保証回収10万円で、ほかに回収を見込めない場合、必要額は800,000円−250,000円−100,000円=450,000円です。貸倒懸念債権の例のように、さらに50%を掛ける計算ではありません。
この債権に対応する既存の引当金が30万円あるなら、追加計上額は450,000円−300,000円=150,000円です。必要額と当期繰入額を同じものとして扱わないことが要点です。設例では直接減額等を行わず、引当金で調整するものとします。
担保を処分した後の不足額だけを保証する契約では、担保回収と保証回収を独立の満額として足せるとは限りません。換価費用や保証人の支払能力も確認します。計算表には債権額、回収見込額、現在価値、必要引当額、既存残高、当期調整額を別々に記録すると、評価と仕訳をつなげられます。
問題1:一般債権300万円に実績率2%を用いる場合の必要額は60,000円です。既存引当金が45,000円なら、追加額はいくらですか。解答は15,000円です。必要額60,000円をもう一度全額繰り入れません。
問題2:CF見積法で、1年後の回収見込額63万円、当初の約定利子率5%、帳簿価額70万円の場合、現在価値と必要額はいくらですか。解答は現在価値600,000円、必要額100,000円です。
登録せずに試す