引当金の計上要件と仕訳|当期負担額・合理的見積り・積立金との違い
引当金の計上条件を事例で判断し、当期負担額90,000円の計算と仕訳を解説します。利益剰余金の任意積立金との違いも確認できます。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年10月29日
情報を確認した日:2026年10月29日
引当金の計上条件を事例で判断し、当期負担額90,000円の計算と仕訳を解説します。利益剰余金の任意積立金との違いも確認できます。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年10月29日
情報を確認した日:2026年10月29日
引当金は、将来支出する見込みの費用や損失のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用や損失として計上するための勘定です。支払日が翌期であっても、原因となる販売や勤務、設備の使用などが当期以前に生じていれば、当期の損益に含める必要があります。
企業会計原則注解の注18では、次の条件を満たす費用や損失について引当金を計上します。
将来の特定の費用または損失を対象としている。
その費用や損失が生じる原因が当期以前の事象にある。
費用や損失が発生する可能性が高い。
金額を合理的に見積もることができる。
たとえば、当期に販売した製品の保証修理や、当期の勤務に対応する翌期支給の賞与では、販売や勤務と支払時期がずれます。対象となる取引を特定し、支払見込額のうちどの期間の負担なのかを判断します。将来設備を購入したいという計画や翌期の売上目標だけでは、このような当期以前の原因を示したことにはなりません。
支払見込額の全額と、当期の費用として計上する金額を区別します。当期と翌期の両方に関係する支出では、資料に従って期間や数量などで負担額を分けます。決算整理前に同じ対象の引当金が残っていれば、期末必要額との差額を調整します。
例として、翌期に支出する特定の費用を120,000円と見積もり、その75%が当期以前の事象に起因するとします。他の計上条件も満たし、この費用に対する決算整理前の引当金残高は0円です。期末に計上する額は120,000円×75%=90,000円です。残り30,000円は翌期の負担分として区別します。
この例で当期の費用へ計上するのは90,000円です。費用の発生可能性が高くても金額を合理的に見積もれない場合や、金額を見積もれても発生可能性が高くない場合は、注18による引当金の計上条件がそろっていません。資料が示す条件を組み合わせて判断します。
当期負担額90,000円を繰り入れる
借方
貸方
賞与引当金や修繕引当金などは負債として表示します。通常1年以内に使用する見込みのものは流動負債、通常1年を超えて使用する見込みのものは固定負債として区分します。貸倒引当金は債権の回収不能見込額を示すため、対象債権から控除する形式で表示するのが原則です。引当金という名称だけで表示区分を一律に決めず、対象と使用見込みを読み取ります。
任意積立金は利益剰余金の内訳です。繰越利益剰余金から修繕積立金などへ振り替えても、その区分変更だけで当期の費用は発生せず、利益剰余金全体の金額も変わりません。たとえば50,000円を積み立てる場合は、繰越利益剰余金50,000円を減らして修繕積立金50,000円を増やします。
これに対して引当金の繰入れは、計上条件を満たす当期の費用や損失を認識する処理です。費用を認識する処理と、計上済みの利益剰余金の内訳を変える処理を区別してください。引当金の計上や積立金への振替だけで、預金が別口座へ移ることもありません。
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
引当金と負債の基本を説明し、問題に答える
引当金と負債
1. 企業会計審議会 企業会計原則・同注解
企業会計審議会(ASBJ掲載)
該当箇所: 企業会計原則注解 注18(引当金)・注19(剰余金)、貸借対照表原則四
出典を開く引当金を計上するときは、当期の費用を借方に、引当金を貸方に記録します。上の設例では90,000円を繰り入れます。この時点では支払いがないため、現金預金の残高は変わりません。
その後、計上した引当金と同じ対象について実際の支払いが生じたら、対応する引当金を取り崩します。引当金で見積もっていた部分を支払時にも全額費用へ計上すると、その部分を二度費用にしてしまいます。実際額との差額と、残しておく必要がある引当金の有無を調べます。
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