矛盾する監査証拠への対応|都合のよい資料だけを選ばない
証拠同士が食い違ったときは、どちらか一方を理由なく採用しません。矛盾の原因を調べ、手続とリスク評価への影響を検討します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
証拠同士が食い違ったときは、どちらか一方を理由なく採用しません。矛盾の原因を調べ、手続とリスク評価への影響を検討します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
最初に押さえる結論と判断規範
証拠同士が食い違ったときは、どちらか一方を理由なく採用しません。矛盾の原因を調べ、手続とリスク評価への影響を検討します。
取引先の回答と会社の帳簿が一致しない、契約書と担当者の説明が違う、社内の二つの一覧表で数量が違う、といった状況では、監査証拠に矛盾が生じています。監査人は、その矛盾を解消するために必要な手続の変更や追加を判断します。
外部の資料だから必ず優先する、経営者が説明したから社内資料を優先する、という固定的な処理では足りません。対象期間や計算単位が違うだけの場合もあれば、資料の信頼性や不正リスクに関わる場合もあります。食い違いの内容を具体化するところから始めます。
同じ取引先、同じ日付、同じ通貨、同じ税込・税抜区分を比べているかを確かめます。債権と債務を相殺した金額と、相殺前の総額では一致しないことがあります。データの抽出時点や更新状況の違いも、相違の原因になり得ます。
条件をそろえても矛盾が残るなら、追加資料や別の情報源を用います。誰が作成し、何を元にした情報かを確認し、修正履歴や承認の記録なども検討します。疑問を解消できた過程を記録することは、結論だけを残すことと同じくらい大切です。
経理担当者は、期末売上の対象商品を期末前に出荷済みと説明しました。ところが倉庫の記録では期末時点で未出荷となっています。監査人は、出荷の手配日と実際の搬出日を混同していないか、別倉庫から出荷していないか、引渡条件に特別な合意がないかを調べます。
調査の結果、売上を先に記録するよう管理者が指示していたことが分かったなら、その取引の修正だけで完了とは限りません。同じ指示を受けた他の取引や、経営者による統制の無効化などへの影響を考えます。矛盾への対応は、一つの金額を合わせる作業にとどまりません。
資料が見つからない場合は、必要な証拠を入手できていない状況です。一方、資料はあるが内容が食い違う場合には、資料の信頼性や事実関係に疑問が生じています。追加手続が必要という点は共通していても、何を解消すべきかは異なります。
よくある誤りは、最終的な結論に合う資料だけを調書へ残すことです。重要な事項に関する結論の形成過程で矛盾した情報を識別したなら、どのように対応したかも文書化します。矛盾があったこと自体を記録から消しても、監査の判断は強くなりません。
会社の説明と異なる契約書を見つけましたが、別の社内メモが会社の説明を支持しています。支持する資料が二つになったので調査を終えてよいでしょうか。資料の数だけでは決められません。契約書との相違の理由と情報の信頼性を調べ、必要な証拠が得られたかを判断します。
公認会計士短答式試験 / 監査論
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監査証拠と監査手続