継続企業の評価手続|期間・資金計画・対応策
継続企業の評価は経営者が行い、監査人は評価期間、関連情報、対応策の実行可能性と計画の裏付けを検討します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
継続企業の評価は経営者が行い、監査人は評価期間、関連情報、対応策の実行可能性と計画の裏付けを検討します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
最初に押さえる結論と判断規範
継続企業の評価は経営者が行い、監査人は評価期間、関連情報、対応策の実行可能性と計画の裏付けを検討する。
継続企業を前提に財務諸表を作成できるかを評価するのは経営者です。監査人は事業計画を代作するのではなく、経営者の評価、対応策、裏付けとなる情報を検討します。赤字や返済期限の到来を見つけることと、重要な不確実性があると結論付けることは、同じ段階ではありません。
この記事は2026年4月1日時点の適用基準に基づきます。後に公表される改訂や公開草案の評価期間を、そのまま混ぜないようにします。
期末日が2026年3月31日、監査報告書日が2026年6月20日の会社を考えます。経営者が2026年9月30日までの資金計画だけで評価していた場合、期末日の翌日から12か月に満ちません。この時点の基準では、監査人は少なくとも2027年3月31日まで評価を延ばすよう経営者へ求めます。
日付・期間 | この例での役割 |
|---|---|
2026年3月31日 | 財務諸表の期末日 |
2026年4月1日〜2027年3月31日 | 少なくとも検討対象に含める評価期間 |
2026年6月20日 | 監査報告書日。上の起点とは別 |
2026年9月30日までの計画 | これだけでは12か月に不足 |
監査人は、原則として経営者が評価した期間を同じく検討します。12か月より長い期間を財務報告の枠組みや法令が要求する場合には、その要求も確認します。監査報告書日から機械的に12か月へ置き換えると、この適用時点の基準とは起点が変わってしまいます。
上の評価期間に含まれる2027年1〜3月の資金計画を、次のように単純化します。単位は万円で、ほかの入出金はありません。
項目 | 金額 | 監査上の着眼点 |
|---|---|---|
1月初の利用可能資金 | 500 | 現金残高、使用制限、利用可能性 |
1〜3月の営業による純入金 | 100 | 売上だけでなく回収・支払いの時期 |
3月の借入返済 | △800 | 返済期限、契約条件、返済猶予の合意 |
資金不足を見つけたら、経営者の対応策が不足を改善するかと、その対応策を実行できるかを分けて検討します。借換え300万円が実行されるなら、この単純計画の残高は100万円になります。しかし、300万円という希望額を足しただけでは、借換えの実現性を裏付けたことにはなりません。
経営者の対応策 | 確かめる資料・条件 |
|---|---|
借換え・新規融資 | 金融機関の合意、融資条件、実行日、未充足条件 |
資産売却 | 売却対象、買手との交渉、実現価格、入金時点 |
売上拡大 | 受注、供給能力、利益率、回収条件 |
親会社等の支援 | 支援意思だけでなく支援者の資力と実行可能性 |
資金計画の基礎データが正しいか、重要な仮定に裏付けがあるか、過去の予測と実績がどう違ったかも調べます。返済額を落とした計画や、売上が増えるのに売掛金の回収をすべて即時とする計画では、表の計算が合っても十分ではありません。
経営者の評価後に主要顧客の倒産などが判明したら、評価へ反映する必要があるかを検討します。評価期間を超えて発生する可能性のある重要な疑義を生じさせる事象については、経営者が持つ情報を質問します。期間外だから、既に知った関連情報も無視するという意味ではありません。
経営者確認書は、対応策やその実行可能性に関する経営者の説明を記録する一つの手段です。金融機関との合意や資金計画の基礎資料など、ほかに必要な監査証拠を置き換えません。最終的には、事象、対応策、裏付け、残る不確実性を結び付けて判断します。
問題1:上の例で、経営者が2026年9月までしか評価していない理由を「監査報告書日から先を半年見たため」と説明しました。十分ですか。十分ではありません。この適用時点では期末日の翌日から少なくとも12か月を含むよう延長を求めます。
問題2:計画に借換え300万円を足すと資金不足が解消しました。これだけで重要な不確実性がないと判断できますか。判断できません。実行可能性、実行時期、残る条件、ほかの事象も検討します。
公認会計士短答式試験 / 監査論
継続企業の評価手続|期間・資金計画・対応策
監査の完了と継続企業
1. 監査基準報告書570「継続企業」
日本公認会計士協会
該当箇所: 第9〜17項、A2・A7〜A19項(2026年4月1日時点の適用規定)
出典を開く対策前の期末資金 |
△200 |
500+100−800 |