継続企業の報告結論|前提の適否と注記の十分性
継続企業の前提が適切か、重要な不確実性があるか、必要な注記がされているかを順に判断します。これらの条件から、監査意見と報告書の記載を選びます。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
継続企業の前提が適切か、重要な不確実性があるか、必要な注記がされているかを順に判断します。これらの条件から、監査意見と報告書の記載を選びます。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
最初に押さえる結論と判断規範
継続企業を前提に作ることの適否、重要な不確実性及び注記の十分性を順に判断し、監査意見と専用区分を決める。
継続企業に関する監査報告を考えるときは、赤字かどうかから意見名へ飛ばず、三つの問いを分けます。継続企業を前提に作成すること自体が適切か、重要な不確実性が残るか、必要な注記が適切かです。監査証拠が足りない場合は、これらの事実を確かめられないという別の問題として整理します。
以下は2026年4月1日時点の適用基準に基づき、適正表示の枠組みで作成された財務諸表を扱います。他の論点による意見への影響はないものとします。
事実・判断 | 監査意見の基本 | 報告上の対応 |
|---|---|---|
継続企業の前提自体が不適切なのに、その前提で作成 | 不適正意見 | 作成の基礎の問題を説明 |
前提は適切、重要な不確実性あり、注記も適切 | 無限定適正意見 | 継続企業の前提に関する重要な不確実性の区分 |
前提は適切、重要な不確実性あり、注記が不適切 | 限定付適正意見又は不適正意見 | 開示上の虚偽表示の重要性・広範性を判断 |
重要な不確実性があることと、財務諸表に重要な虚偽表示があることは同じではありません。会社が必要な情報を適切に注記しているなら、重要な不確実性を明示したうえで無限定適正意見となる場合があります。
会社には継続的な損失と大きな返済負担があります。経営者の実行可能な対策も検討しましたが、資金調達にはなお重要な不確実性が残ると監査人が判断しました。一方、継続企業を前提に作成することは適切で、関連する事象、対応策、重要な不確実性が注記されている条件です。
この場合、他に問題がなければ無限定適正意見とし、継続企業の前提に関する重要な不確実性の区分を設けて注記へ注意を向けます。その事項は監査意見に影響するものではない旨も示します。「不確実性があるから必ず限定付」という答えにはなりません。
上と同じ事象・対策・不確実性があるのに、会社が重要な不確実性を適切に注記しなかったとします。変わったのは経営状態ではなく、財務諸表の開示です。この開示上の虚偽表示について、重要性と広範性に応じて限定付適正意見又は不適正意見を判断します。
監査報告書へ監査人が詳しく記載すれば、会社の注記不足を補って無限定適正意見へ戻せるということではありません。監査人の説明と、会社が財務諸表に行うべき開示は、役割が違います。
清算を予定していて、継続企業を前提とすることが適切でないと判断されるのに、その前提で財務諸表を作成していた場合は、注記の有無だけの問題ではありません。適正表示の枠組みでは不適正意見となります。十分に注記すれば不適切な作成の基礎が正しくなるわけではないためです。
継続企業以外の適切な基礎を用いて作成された財務諸表は、上の条件とは別に判断します。清算という語を見ただけで、作成の基礎を確認せず同じ意見を選ばないようにします。
経営者が評価や評価期間の延長を行わない場合には、その拒否が監査報告へ与える影響を考えます。必要な証拠をほかに得られるか、証拠不足の影響がどの範囲へ及ぶかによって判断が変わります。「評価を拒否したから自動的に不適正意見」という扱いではありません。
また、重要な不確実性の区分を一般の強調事項やKAMと同じものとして記載しません。意見、意見の根拠、継続企業の専用区分を区別します。専用区分がない報告書も、会社の将来の存続を保証するものではありません。
問題1:前提は適切で、重要な不確実性があり、必要な注記も適切です。他に問題がない場合、意見は必ず限定付ですか。解答:他に問題がなければ無限定適正意見とし、所定の専用区分で注意を向けます。
問題2:必要な注記が不適切な場合と、必要な証拠を得られない場合は、同じ理由の意見修正ですか。解答は違います。前者は虚偽表示、後者は判断の基礎となる証拠の不足であり、結論を選ぶ道筋を分けます。
公認会計士短答式試験 / 監査論
継続企業の報告結論|前提の適否と注記の十分性
監査の完了と継続企業
1. 監査基準報告書570「継続企業」
日本公認会計士協会
該当箇所: 第18〜25項(監査人の結論、監査報告、評価拒否等)
出典を開く必要な証拠を得られず、判断の基礎が不足 | 限定付適正意見又は意見不表明を検討 | 証拠不足による影響の重要性・広範性を判断 |