実地棚卸への立会で確かめること|数量・状態・記録のつながり
実地棚卸への立会は、監査人が会社に代わって全在庫を数える作業ではありません。会社の棚卸手続と監査人の確認を区別します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
実地棚卸への立会は、監査人が会社に代わって全在庫を数える作業ではありません。会社の棚卸手続と監査人の確認を区別します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
最初に押さえる結論と判断規範
実地棚卸への立会は、監査人が会社に代わって全在庫を数える作業ではありません。会社の棚卸手続と監査人の確認を区別します。
会社は在庫を管理し、実地棚卸を行い、その結果を帳簿へ反映します。監査人は、棚卸資産が重要な場合、実務的に不可能でない限り実地棚卸に立ち会い、実在性と状態に関する証拠を得ます。立会を受けても、在庫記録を作成する会社の責任が移るわけではありません。
立会では、経営者が出した棚卸の指示や手続を評価し、実際の作業を観察し、棚卸資産を実査し、テスト・カウントを実施します。倉庫を歩いて商品を眺めたというだけでは、これらの目的を十分に果たしたことにはなりません。
監査人自身のカウントと会社の棚卸記録を照合するほか、最終的な在庫記録が実地棚卸結果を正確に反映しているかも調べます。現場の記録が正しくても、集計や帳簿への入力で誤りが起きれば、財務諸表の残高は正しくなりません。
商品の破損や滞留など、状態にも注意します。ただし、見た目だけで評価額の全てが決まるわけではありません。正味売却価額、原価の計算、所有権などについては、対象となる主張に応じた別の証拠も検討します。数量の確認と評価の判断を分けることが大切です。
会社が期末の3日前に棚卸を行い、当日は在庫100個を記録しました。期末までに20個を受け入れ、30個を出荷したなら、他の増減がない前提で期末数量は90個です。ただし、監査では数式を合わせるだけでなく、受入れと出荷が漏れなく正しく記録されたかを確かめます。
また、出荷した商品を期末在庫から外す時期は、契約上の権利や引渡条件とも関係します。棚卸日から期末までの増減を照合する手続は、二つの日付の間をつなぐためのものであり、棚卸への立会の代わりに単なる差引計算をすればよいという意味ではありません。
予期しない事態で予定日に立ち会えない場合には、別の日の実地棚卸や立会と、その間の取引に関する手続を検討します。実務的に立会が不可能な場合には、実在性と状態について証拠を得る代替手続を実施します。
手続に手間がかかる、旅費が高い、といった事情だけで安易に不可能と判断しません。代替手続によっても十分な証拠を得られないなら、監査範囲の制約として監査意見への影響を検討します。立会をしなかったという結論だけでなく、その理由と代替手続の結果が重要です。
監査人は棚卸当日に10品目を数え、会社の現場記録と一致することを確認しました。最終的な在庫一覧との照合は不要でしょうか。最終的な在庫一覧との照合も必要です。実地棚卸の結果が最終記録に正確に反映されているかを確かめる手続も必要です。
公認会計士短答式試験 / 監査論
監査証拠と監査手続の基本を説明し、問題に答える
監査証拠と監査手続
1. 監査基準報告書501 特定項目の監査証拠
日本公認会計士協会
該当箇所: 第3〜7項
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