競業と利益相反の責任推定|損害額と任務懈怠を区別
無承認等の競業では取引利益額を損害額と推定し、利益相反取引で会社損害が生じた場合は所定の役員の任務懈怠を推定します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
無承認等の競業では取引利益額を損害額と推定し、利益相反取引で会社損害が生じた場合は所定の役員の任務懈怠を推定します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
最初に押さえる結論と判断規範
無承認等の競業では取引利益額を損害額と推定し、利益相反取引で会社損害が生じた場合は所定の役員の任務懈怠を推定する。
2026年4月1日時点の会社法423条は、競業・利益相反取引に関して責任判断の推定を置く。本稿は356条・365条の承認機関の選択そのものではなく、取引が行われ会社に損害が生じた後の責任を扱います。取締役会が承認したという事実は、会社の請求権をあらかじめ全面免除することと同じではありません。どの取引類型に当たり、何を推定する規定なのかを明確にし、承認の有無だけで結論を終えない。
423条2項は356条1項に違反した同項1号の競業取引について、取締役等又は第三者がその取引で得た利益額を会社損害額と推定します。売上高全額を損害とする規定ではありません。例えば第三者が取引から得た利益が450万円なら、その額が推定の基礎となります。利益を得たのが役員本人でないから当然に対象外ともいえません。また推定は反証不能な確定とは違うので、反証の余地があることを踏まえる。
同条3項は356条1項2号・3号の取引によって会社損害が生じた場合、所定の役員の任務懈怠を推定します。取引を行った者、会社が取引することを決めた者、承認決議に賛成した取締役等が対象となります。取引代金全額が損害と自動的に推定される、という規定ではありません。在任者すべてを無条件に同じ扱いにするのでもない。誰がどの役割で関与したかを確認し、会社損害の発生という前提も落とさない。
423条4項は、対象となる取締役が利益相反取引について監査等委員会の承認を受けた場合に3項を適用しないとします。対象者の除外など条文の条件も必要であり、どの会社の監査機関の同意でも同じとはいえません。排除されるのは3項の任務懈怠推定であって、一般要件に基づく1項責任をあらゆる場合に消滅させるものではありません。競業取引の2項まで同じ効果で外れるとも読まない。推定の適用と責任の有無を分けます。
責任の事例では、役員の地位、具体的な職務、問題となる行為、損害を受けた者、損害と行為の関係を順に確認します。会社と株主個人、会社の取引先は別の主体であり、誰への責任を問うかで適用条文が変わります。責任が成立しないという判断と、成立する責任の免除又は限定を受ける判断も異なります。株主総会や取締役会で何らかの承認があったというだけで、すべての責任が消えるとは考えません。問題に示されていない悪意・過失や因果関係を補わず、各制度の要件に該当する事実を具体的に示します。
公認会計士短答式試験 / 企業法
競業と利益相反の責任推定|損害額と任務懈怠を区別
役員の責任と責任追及
1. 会社法
デジタル庁 e-Gov
該当箇所: 356条1項、423条1〜4項
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