不正リスクと経営者による内部統制の無効化
経営者は統制を無効化できる立場にあるため、通常の承認統制だけでは不正リスクへ十分に対応できません。仕訳入力、見積りの偏向、通例でない取引を検討します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月28日
経営者は統制を無効化できる立場にあるため、通常の承認統制だけでは不正リスクへ十分に対応できません。仕訳入力、見積りの偏向、通例でない取引を検討します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月28日
最初に押さえる結論と判断規範
経営者は統制を無効化できる立場にあるため、通常の承認統制だけでは不正リスクへ十分に対応できません。仕訳入力、見積りの偏向、通例でない取引を検討します。
通常の承認手続が整っていても、経営者自身がその手続を迂回する可能性は残ります。経営者による内部統制の無効化は、統制の有効性だけでは対応を省略できない不正リスクです。
「社長の承認があるから安全」という説明だけでは、社長自身の指示で不適切な処理が行われる可能性へ対応できません。
通常は自動計上される売上へ、決算直前に経営者の指示による手入力が加わりました。説明は「数字の調整」だけで、契約や出荷資料が示されません。監査人は、不適切な仕訳の可能性、証拠の信頼性、他の領域への影響等を検討します。
対応する領域 | 着眼点の例 |
|---|---|
仕訳入力と決算修正 | 誰が、いつ、どの根拠で入力・承認したか |
会計上の見積り | 個別には合理的でも、全体で利益を増やす方向へ偏っていないか |
重要で通例でない取引 | 事業上の合理性が不正の隠蔽を示唆しないか |
監基報240では、統制無効化リスクの評価にかかわらず、これらに関する所定の監査手続を要求しています。さらに識別したリスクへ対応する追加手続の必要性も判断します。
仕訳入力等では期末の入力・修正を抽出するとともに、対象期間を通じた検証の必要性を考慮します。会計上の見積りには、経営者の偏向の検討や過年度の見積りに関する遡及的な検討も関係します。
不正を疑わせる事実があれば、経営者の説明の信頼性、リスク評価、他の監査証拠、必要なコミュニケーション等への影響を考えます。一つの仕訳を修正したことだけで、他の問題も全て解消したとは限りません。
仕訳を調べるときは、目立つ期末修正だけを無条件に全対象とせず、入力者・承認者・取引内容から抽出方法を考え、期間中の検証の必要性も判断します。誤った仕訳を一件直して終えず、経営者の説明の信頼性や、他の見積り・取引への影響を再評価します。
「統制が有効と評価されたので、経営者による統制無効化への対応は省略できる」は誤りです。通常の統制へ依拠する手続と、経営者による無効化への所定の対応は分けて考えます。
公認会計士短答式試験 / 監査論
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3. 監査基準報告書330 評価したリスクに対応する監査人の手続
日本公認会計士協会
該当箇所: 第5〜6項、第20項(評価したリスクへの対応)
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