募集株式発行の差止め|不利益のおそれと救済の時点
会社法210条による募集株式の発行等の差止めを学びます。法令・定款違反や著しく不公正な方法に加え、株主が不利益を受けるおそれがあるかを確認します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
会社法210条による募集株式の発行等の差止めを学びます。法令・定款違反や著しく不公正な方法に加え、株主が不利益を受けるおそれがあるかを確認します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
最初に押さえる結論と判断規範
210条は、法令・定款違反又は著しく不公正な募集株式の発行等について、株主に不利益のおそれがあるときの事前差止めを認める。
本稿は2026年4月1日時点の会社法によります。210条の差止めは、募集による株式発行又は自己株式処分を実行する前にやめるよう求める制度です。増資を行えば既存株主の持株割合が下がることはあるが、その事実だけで常に差止めが認められるわけではありません。法が掲げる行為の問題性と、請求する株主が不利益を受けるおそれをそれぞれ確認します。会社に資金調達の必要があることだけで反対に差止制度が消えるわけでもない。
210条1号は法令又は定款違反、2号は著しく不公正な方法を掲げる。両号を同時に満たすことが必要なのではありません。必要な決定機関の手続を欠く事例では違法性を、形式的手続を整えていても発行目的等に問題がある事例では著しい不公正を検討することになります。取締役会議事録があるから常に適法で公正、という推測はしません。事例がどの号の条件を示しているかを明確にし、問題文にない事実まで補わない。
共通要件は株主が不利益を受けるおそれであり、すべての損害が確定した後でなければ請求できない制度ではありません。未然の救済だからこそ、まだ発行が完了していない段階で利用する意味があります。同条自体には6か月の継続保有や一定の議決権割合という数値要件は置かれていない。代表訴訟や少数株主権の条件を、似た株主保護というだけで追加しません。ただし株主であることと法定の不利益のおそれは必要です。
210条は199条の募集に係る新株発行だけでなく自己株式処分も対象にします。新しい株式を作らないから既存株主への影響がない、とはいえません。一方、株主同士の通常売買や株式分割などを、そのままこの条の募集株式差止めへ含めることはできません。募集新株予約権の発行については247条の差止制度を検討します。発行物が株式か新株予約権か、会社の募集か既存株主の売却かを最初に分類すると条文を選びやすい。
必要な株主総会決議を欠く発行が予定され、株主に不利益のおそれがある設例なら、210条の法令違反を手掛かりに差止めを検討します。既に発行が完了した場合は、828条の無効の訴え等の別制度の要件・期間を調べる。事前差止めを申し出れば過去の発行が自動的に消えると理解しません。違法性の有無だけでなく、予定段階、実行段階、完了後という時系列を整理し、いつ、誰に、どの救済を求めるのかを示すことが重要です。
公認会計士短答式試験 / 企業法
募集株式発行の差止め|不利益のおそれと救済の時点
株式・新株予約権による資金調達
1. 会社法
デジタル庁 e-Gov
該当箇所: 210条、247条、828条1項2・3号
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