資産・負債の一時差異|回収と決済から方向を判断する
帳簿価額と税務上の価額の差を、資産回収又は負債決済時の課税所得への影響へ結び付けて判定します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
帳簿価額と税務上の価額の差を、資産回収又は負債決済時の課税所得への影響へ結び付けて判定します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
最初に押さえる結論と判断規範
帳簿価額と税務上の価額の差を、資産回収又は負債決済時の課税所得への影響へ結び付けて判定する。
一時差異は、会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額との差額です。単に二つの金額を引くだけでなく、その資産を回収したり負債を決済したりするときに、将来の課税所得がどちらへ動くかを確認します。将来の課税所得を減らす効果を持つものは将来減算一時差異、増やす効果を持つものは将来加算一時差異となります。資産と負債へ同じ符号の暗記だけを当てはめると、方向を逆にしやすい。
会計上費用を先に認識していても、将来に税務上の損金となるとは限りません。将来も永久に損金とならない項目は、時期の差を調整する一時差異と区別する必要があります。現在の税務申告で加算したという事実だけを根拠に、すべて繰延税金資産へ結び付けない。
金額を万円とします。会計上の棚卸資産の帳簿価額八十に対し税務上の価額百で、将来販売時には税務上百を損金にできるとします。同じ売上に対し会計上の原価は八十、税務上の原価は百なので、将来の課税所得は会計利益より二十少なくなります。将来減算一時差異は100−80=20です。適用税率を三割と仮定し全額回収可能なら、繰延税金資産は20×0.3=6となります。
反対に、会計帳簿価額が税務上の価額を上回り、回収時の税務上の損金が会計費用より少なくなる資産では、将来加算の方向を検討します。評価差額が損益を通ったか純資産へ直接計上されたかによって、税効果の相手科目も変わるため、方向の判断だけで仕訳を完結させない。
賞与引当金を会計上百計上し、税務上は未計上で、支払時に百の全額を損金にできると仮定します。支払時には会計上引当金を取り崩すため新たな費用は出ない一方、税務上は損金が生じます。したがって百は将来減算一時差異です。同じ三割の税率で全額回収可能なら、繰延税金資産は100×0.3=30となります。負債だから繰延税金負債という勘定名の連想で決めない。
未払額のすべてが同じとは限りません。既に当期税務上も損金算入されている未払費用なら、会計と税務の負債額が一致して一時差異がない場合があります。また、将来も損金不算入の報酬なら、税務上の将来減額効果がなく、賞与引当金の例とは結論が異なります。支払時の税務条件を明記することが重要です。
将来減算一時差異があることと、対応する繰延税金資産を全額計上できることは同じではありません。減額効果を利用できる課税所得等の見込みに基づき、回収可能性を別に判断します。資産の価額差が存在していても、損金となる年度に利用できる所得がなければ、計上額が制限される場合があります。差異の総額、適用税率、回収可能な部分を分けて表にすると、方向と評価の混同を避けやすい。
本稿は2026年4月1日時点の日本基準に基づきます。税率三割や賞与の損金算入条件は設例の仮定であり、実際の税率や税法上の要件を示すものではありません。資産回収又は負債決済の仕訳を先に想像し、そこで会計利益と課税所得の差がどう解消するかを説明できれば、単なる大小関係の暗記より確実に方向を判断できます。
次の数値は税率30%、税務条件を固定した学習例です。将来減算差異の税効果は全額回収可能と仮定します。差額だけで勘定科目を決めず、将来の費用と損金のどちらが多いかを説明してから税額を求めます。
対象 | 会計/税務の額(万円) | 将来の影響 | 税効果(万円) |
|---|---|---|---|
設備 | 600/480 | 税務の将来償却が120少ないため将来加算 | 繰延税金負債36 |
支払時に損金となる引当金 | 60/0 | 将来支払時に税務だけ60を損金にするため将来減算 | 繰延税金資産18 |
設備を回収する過程では、会計の未費用化原価600万円に対して税務の未損金額は480万円しかありません。将来の課税所得が会計利益より120万円大きくなるため、120×30%=36万円の負債です。引当金では、会計費用を当期に認識済みであり、将来支払時に税務上の損金だけが生じるので、60×30%=18万円の資産です。
上の二つが同一納税主体の項目で相殺表示の条件を満たすなら、表示上の純額は負債18万円です。ただし、明細では資産18万円と負債36万円をそれぞれ認識した過程を残します。別の納税主体の金額を、連結グループという理由だけで差し引かないようにします。
確認問題:当期損金不算入の60万円が将来も永久に損金にならない場合はどうなるでしょうか。この場合は将来減税効果がなく、引当金の例と同じ繰延税金資産18万円を作ることはできません。税務申告の加算額と一時差異を区別します。
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
資産・負債の一時差異|回収と決済から方向を判断する
税効果会計の方向と期間配分
1. 企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」
企業会計基準委員会
該当箇所: 第4項(3)(4)、第6〜9項、第84〜85項
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