会社法130条|株式譲渡の対抗要件と名義書換
会社法130条は、株式譲渡を会社等に主張するための名義書換を定めます。株券不発行会社と株券発行会社で対抗の相手方が異なること、128条の効力要件との違いを具体例で確認します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年10月24日
情報を確認した日:2026年10月28日
会社法130条は、株式譲渡を会社等に主張するための名義書換を定めます。株券不発行会社と株券発行会社で対抗の相手方が異なること、128条の効力要件との違いを具体例で確認します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年10月24日
情報を確認した日:2026年10月28日
原文から要件・効果までの読み順
法令上の文言をそのまま確認します
法令本文
株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。 2 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。
条文の意味を平易な言葉で整理します
当事者間で株式を取得したことと、その取得を会社に主張できることは別です。株券の有無による第三者との関係の違いも併せて確認します。
この規定が置かれている理由
株主名簿を会社事務の基準とし、株主の移動があるたびに会社が複雑な実体関係を調査しなければならない負担を軽減します。株券不発行会社では、第三者との関係でも名簿の記載を対抗の基準とする点が重要です。
株式を譲り受けるときは、当事者間で権利が移ったかと、その譲渡を会社や第三者へ主張できるかを分けます。会社法130条の名義書換は、主に後者の対抗要件の規定です。株主名簿に記載されていないという理由だけで、売買契約が常に無効になるわけではありません。
まず株券発行会社かどうかを確認します。130条1項では会社その他の第三者への対抗が問題になりますが、株券発行会社については2項により「会社」への対抗要件と読み替えるためです。
会社・株式の区分 | 権利移転の確認 | 130条の名義書換で対抗する相手 |
|---|---|---|
株券不発行会社の通常の株式 |
公認会計士短答式試験 / 企業法
株式の内容と株式譲渡の基本を説明し、問題に答える
株式の内容と株式譲渡
公認会計士短答式試験 / 企業法
会社法130条
株式の内容と株式譲渡
会社法 株式の譲渡の対抗要件
第130条
1. 会社法(e-Gov法令検索)
デジタル庁 e-Gov
該当箇所: 第130条第1・2項、第128条、第121・124・133・134・137条。振替株式は振替法の特則を別途参照。
出典を開く会社その他の第三者 |
株券発行会社の通常の株式 | 原則として128条の株券交付を確認 | 会社 |
振替株式 | 振替法の特別な効力・対抗等の規律を確認 | 130条だけで全体を説明しない |
株券発行会社で名義書換が第三者への対抗要件にならないことから、第三者との権利関係が何も問題にならないという結論にはなりません。株券に関する規律などを別に検討します。制度ごとに同じ表の文言をそのまま流用しないようにします。
譲渡制限のない株券不発行会社で、5月1日にAからBへ株式が有効に譲渡されたとします。株主名簿はAのままです。Bが会社に譲渡を対抗するためには、原則としてBの氏名又は名称と住所を株主名簿へ記載・記録する必要があります。
会社へ電話で「株を買った」と伝えることと、法定の名簿の記載が整うことは同じではありません。会社が誰へ通知し、誰を株主として取り扱うかを安定させる役割があるためです。ただし、名義書換がないことと、A・B間の譲渡が成立していないことを混同しません。
株券が既に発行され、交付が必要な通常の譲渡を考えます。6月1日に売買を合意し、6月3日に株券を交付し、6月10日に名義書換を行ったとします。ほかの効力要件や譲渡制限の問題はないものとします。
日付 | 行為 | 確かめる問題 |
|---|---|---|
6月1日 | 売買の合意 | 契約上の権利義務と、株式移転の条件 |
6月3日 | 株券の交付 | 128条による譲渡の効力 |
6月10日 | 名義書換 | 130条による会社への対抗 |
この条件では、代金を払って売買に合意しただけで、必要な株券交付まで済んだことにはなりません。一方、株券を受け取って有効に譲渡されても、会社へ対抗するための名義書換は別に確認します。名義書換だけで、必要な株券交付の欠缺が当然に補われるという順序にはしません。
株券発行前の譲渡などには128条2項等の別の定めがあるため、この通常例をすべての株券発行会社の全場面へ広げないようにします。どの条件の株式を扱っているかを明示することが重要です。
譲渡制限株式なら、必要な会社の承認に関する規定を確認します。承認、株券交付、名義書換は、同じ手続の別名ではありません。それぞれ何を満たすための行為かを書き分けます。
133条は株主名簿への記載・記録の請求に関する規定です。名義書換に必要な請求の方法と、譲渡自体の効力を区別します。さらに、特定の日の株主へ権利を行使させる124条の基準日制度も関係します。名義書換をした日だけで、あらゆる配当・議決権の帰属を自動的に決めません。
会社による不当な名義書換拒絶、二重譲渡、振替株式などは、追加の事実関係と適用規定を要する論点です。130条の一般則を押さえた後に、それぞれの条件を加えて考えます。
問題1:株券発行会社でも、名義書換は130条上の第三者に対する対抗要件ですか。解答は違います。2項の読替えにより、130条での対抗先は会社となります。第三者との関係は別の規律を確認します。
問題2:株券不発行会社で有効に譲渡された株式がまだ名義書換されていない場合、売主と買主の売買契約は必ず無効ですか。解答:必ず無効とはいえません。譲渡の効力と、会社等への対抗を分けて判断します。
問題3:例2で、株券を受け取った6月3日と名義書換をした6月10日は、同じ法律上の問題を処理していますか。解答は違います。交付は譲渡の効力、名義書換は会社への対抗という役割を確認します。