競業取引と利益相反取引|承認機関と事後報告を整理する
取締役の競業、会社との直接取引、会社による取締役の債務保証は検討する類型が異なります。重要事実の開示と承認の流れを確認します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
取締役の競業、会社との直接取引、会社による取締役の債務保証は検討する類型が異なります。重要事実の開示と承認の流れを確認します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月26日
最初に押さえる結論と判断規範
取締役の競業、会社との直接取引、会社による取締役の債務保証は検討する類型が異なります。重要事実の開示と承認の流れを確認します。
取締役が自分や第三者のために会社の事業の部類に属する取引をする場面では、競業取引の規制を検討します。また、取締役が自己または第三者のため会社と取引する場合や、会社が取締役の債務を保証するような場面では、利益相反取引の規制を検討します。
会社法356条は、これらの取引について重要な事実を開示し、承認を受けることを定めています。ここでは通常の取締役会設置会社と非設置会社を扱います。委員会設置会社等について特則が問題になる場面は、機関設計に応じた条文も確認します。
会社と取締役本人が売買するなら、会社と本人の条件交渉が対立し得ます。取締役が第三者を代理して会社と取引する場合も、本人名義でないというだけで検討が不要になるわけではありません。誰のために、誰と、何を取引するかを具体的にします。
会社が銀行との間で取締役個人の債務を保証する場合、契約の相手は銀行ですが、会社の利益と取締役の利益が相反する場面として検討します。会社の契約相手に取締役本人が現れない取引もあるため、形式的な当事者名だけで分類しないことが大切です。
356条では株主総会での承認が定められていますが、取締役会設置会社では365条により取締役会での承認へ読み替えます。取締役会設置会社では、当該取引をした取締役は、取引後、遅滞なく重要な事実を取締役会へ報告する必要があります。
承認の際は、取引内容や相手方、条件などの重要な事実を示します。単に「必要な取引をしてよい」と抽象的に承認を得たという説明だけでは、どの事実に基づく承認だったかが分かりません。また、決議に特別の利害関係を持つ取締役の取扱いも、369条と併せて確認します。
会社が代表取締役A個人の銀行借入れを保証しようとしています。取引相手が銀行であることを理由に、会社とAの利益相反はないと判断してはいけません。保証を行う会社が負担する危険と、借入れをするAの利益を確認します。
通常の取締役会設置会社なら、重要な事実を開示して取締役会の承認を受けることを検討します。承認後に取引を行った場合の事後報告も確認します。承認を受けたから取締役の義務や責任が全て消える、とまとめることもできません。
取締役が会社と直接取引する場合、取締役会を置くかどうかに関係なく、必ず株主総会だけで承認するのでしょうか。会社の機関設計によって承認機関が異なります。356条に加え、取締役会設置会社についての365条の読替えを確認します。取引の類型と会社の機関設計を順に確かめることが必要です。
公認会計士短答式試験 / 企業法
株式会社の機関と役員の基本を説明し、問題に答える
株式会社の機関と役員
会社法
会社法 第356条、第365条、第369条第2項
1. 会社法(e-Gov法令検索)
デジタル庁 e-Gov
該当箇所: 会社法 第356条、第365条、第369条第2項
出典を開く