会社法328条|大会社に必要な監査機関
会社法328条は、大会社に会計監査人を必置とし、公開大会社には原則として監査役会も求める規定です。大会社の定義と委員会型の例外を整理します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年10月24日
情報を確認した日:2026年10月28日
会社法328条は、大会社に会計監査人を必置とし、公開大会社には原則として監査役会も求める規定です。大会社の定義と委員会型の例外を整理します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年10月24日
情報を確認した日:2026年10月28日
原文から要件・効果までの読み順
法令上の文言をそのまま確認します
法令本文
大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。 2 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。
条文の意味を平易な言葉で整理します
328条は大会社の監査水準を引き上げる条文です。大会社該当性、公開性、委員会型の順に機関を決めます。
この規定が置かれている理由
大規模会社の複雑な会計・業務を一人の取締役や監査役だけに委ねず、独立した専門家監査と組織的監督を確保するための規定です。
会社法の大会社は、規模の印象や従業員数で決めません。最終事業年度に係る貸借対照表等において、資本金として計上した額が5億円以上、又は負債の部の合計額が200億円以上という法定の基準で判断します。二つの条件は「かつ」ではなく「又は」です。
資産総額200億円と負債200億円も同じではありません。判定の資料と科目を特定します。成立後最初の定時株主総会までの間には、設立時の貸借対照表を用いる定めがあるため、直近の試算表の数字だけを無条件に使わないようにします。
資本金 | 負債合計 | 規模の判定 |
|---|---|---|
4億円 | 150億円 |
公認会計士短答式試験 / 企業法
株式会社の機関と役員の基本を説明し、問題に答える
株式会社の機関と役員
公認会計士短答式試験 / 企業法
会社法328条
株式会社の機関と役員
会社法 大会社における監査役会等の設置義務
第328条
1. 会社法(e-Gov法令検索)
デジタル庁 e-Gov
該当箇所: 第328条第1・2項、第2条第6号、第327条第1・3〜5項、第436条、第439条。
出典を開く5億円 | 150億円 | 資本金基準で大会社 |
4億円 | 200億円 | 負債基準で大会社 |
会社の類型 | 取締役会・監査機関の基本 | 会計監査人 |
|---|---|---|
非公開・非大会社・非委員会型 | 取締役会は任意。設置すれば原則監査役、会計参与の例外あり | 原則として任意。置くなら327条3項も確認 |
公開・非大会社・非委員会型 | 取締役会と原則監査役 | 328条だけでは必置とならない |
非公開・大会社・非委員会型 | 会計監査人設置に伴い監査役が必要。監査役会は必置ではない | 必要 |
公開・大会社・非委員会型 | 取締役会・監査役会が必要 | 必要 |
監査等委員会型・指名委員会等型 | 取締役会と各委員会。監査役は置かない | 規模・公開性によらず必要 |
328条1項は、二つの委員会型を除く公開大会社について、監査役会と会計監査人を要求します。2項は非公開大会社にも会計監査人を要求します。非公開だから外部の会計監査人が不要になる、という区分ではありません。
非公開で委員会型ではないA社について、最終事業年度の貸借対照表で資本金5億円、負債150億円とします。資本金の基準を満たすため大会社です。328条2項から会計監査人が必要となり、非委員会型の会計監査人設置会社なので327条3項から監査役も必要です。
会計参与を既に置いていても、この監査役の義務はなくなりません。一方、328条2項から監査役会の義務までは生じません。取締役会の有無や任意に設けた機関も含め、他の設置要件を重ねて構成を決めます。
A社が公開会社となり、なお大会社に該当し、委員会型を採らない条件へ変わったとします。公開会社なので取締役会が必要です。さらに328条1項から監査役会と会計監査人が必要になります。規模だけでなく公開性も変わったため、非公開時の構成をそのまま使えません。
監査役会設置会社では監査役の人数や社外監査役の要件も確認します。監査役が一人いるという事実と、監査役会の法定構成が整っていることは別です。役員の選任、定款、必要な登記等の手続も、機関構成の変更と併せて検討します。
公開大会社でも、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社には、監査役会を必置とする328条1項の扱いをそのまま当てはめません。各委員会の構成と会計監査人を、327条等に従って確認します。これらの会社は監査役を置けないため、監査役会を重ねて置く結論にはなりません。
大会社では会計監査人による監査が必要になりますが、それだけで計算書類の株主総会承認がすべて不要になるわけではありません。439条の特則は、所定の監査を受け、取締役会の承認を受けた計算書類について、法務省令の要件等を満たす場合の制度です。大会社というラベルだけで手続の結論を決めません。
学習では「規模の判定→公開性→監査モデル→必要機関→選任等の手続」の順に整理すると、2条・327条・328条の役割がつながります。計算書類の監査・承認・報告は、その構成を確定した後に436条・439条等へ進みます。
問題1:資本金4億円、負債200億円の非公開会社は、資本金が5億円未満なので大会社ではありませんか。解答は大会社です。負債基準のいずれかを満たせば足ります。
問題2:非公開大会社で監査役会が必置でないなら、監査役も不要ですか。解答:非委員会型では会計監査人設置に伴う327条3項の監査役義務を確認します。監査役会と監査役を同じ機関として扱いません。
問題3:公開大会社は、監査等委員会を採っていても監査役会を併置しますか。解答は併置しません。委員会型の義務・禁止に従います。