ソフトウェア実務指針|制作目的と資産計上を判断する順序
ソフトウェア制作費を、研究開発・市場販売・自社利用に分けて判断します。利用開始前後の支出や保守費を一括処理しないための案内です。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
ソフトウェア制作費を、研究開発・市場販売・自社利用に分けて判断します。利用開始前後の支出や保守費を一括処理しないための案内です。
執筆:LavaCount執筆者チーム
解説の対象時点:2026年4月1日
情報を確認した日:2026年10月28日
目的から適用までの読み順
どの取引・事象に適用するか
ソフトウェア制作費を、研究開発・市場販売・自社利用に分けて判断します。利用開始前後の支出や保守費を一括処理しないための案内です。
基準が求める主要な原則
基本的な取扱い
ソフトウェアの制作費は、受注制作、市場販売、自社利用などの目的によって取扱いが変わります。研究開発に当たる部分がある場合は、その部分を先に区分します。ソフトウェアという名称だけで、全額を無形固定資産にすることはできません。 自社利用では、将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められるかを検討します。契約形態によっては、自社がソフトウェアを保有するのでなくサービスを利用している場合もあります。
ソフトウェアの支出は、受注制作、市場販売、自社利用のどれに当たるかで処理が変わります。請求書に「開発費」とあることや、金額が大きいことだけでは資産計上を決められません。まず研究開発に当たる部分を区分し、その後に目的別の要件を当てはめます。
制作目的 | 主な判断 | 次に確認すること |
|---|---|---|
顧客からの受注制作 | 契約の履行と収益・原価の認識 | 顧客への約束、履行時期、適用する収益認識の条件 |
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
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固定資産の取得と売却
移管指針第8号 研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
研究・開発の範囲、ソフトウェア制作費、自社利用のソフトウェア
1. 移管指針第8号 研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
企業会計基準委員会
該当箇所: 第6〜16項(制作目的・自社利用の範囲)、第18〜22項(償却・見直し)
出典を開く市場販売 |
製品マスターの制作費の資産計上範囲 |
研究開発の終了、製品マスターの完成、販売見込み |
自社利用 | 将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められるか | 要件を満たした時点、制作の終了、利用可能期間 |
クラウドの利用契約では、自社がソフトウェア資産を保有しているのか、外部のサービスを利用しているのかも確認します。外注先がシステムを作ったという事実だけで、自社の無形固定資産になるとは限りません。
自社利用ソフトウェアについて、資産計上要件を満たした後の制作費90万円、利用者の操作研修費8万円、利用開始後の通常保守費12万円が発生したとします。研修と保守は当期に提供を受けたもので、研究開発費や他の支出はありません。
支出 | この設例の処理 | 理由 |
|---|---|---|
制作費900,000円 | ソフトウェア原価 | 資産計上要件を満たした後の制作 |
操作研修費80,000円 | 当期費用 | 利用者のトレーニングに対する支出 |
通常保守費120,000円 | 当期費用 | 現状の機能を維持するサービス |
支払合計110万円のうち、資産となるのはこの条件では90万円です。請求書が一枚でも、作業の内容と提供期間を分けます。利用開始後の支出でも、新しい機能の追加などで将来の便益が増える場合は、その支出の性質を改めて検討します。「保守契約」という名称だけで機能改良まで同じ扱いにはしません。
上の90万円のソフトウェアが期首から利用可能で、合理的に見積もった利用可能期間5年、残存価額ゼロ、定額償却という条件なら、年間償却費は900,000円÷5年=180,000円です。期末帳簿価額は720,000円になります。5年はこの設例の見積りであり、すべてのソフトウェアへ無条件に当てはめる年数ではありません。
当期の費用は償却費18万円に研修費8万円と保守費12万円を加え、合計38万円です。支払額110万円と当期費用38万円の差72万円が、ほかの要因がなければ期末のソフトウェア残高に対応します。期中に利用可能となった場合は、設例の指示に従って対象期間を調整します。
市場販売用ソフトウェアの製品マスターについて、当期償却前の未償却残高120万円、当期首からの残存有効期間3年、今後の見込販売数量1,000本、当期販売数量200本とします。当期は通年販売し、数量に基づく償却が合理的と判断された条件です。
方法 | 計算 | 当期の額 |
|---|---|---|
見込販売数量に基づく償却 | 1,200,000円×200本÷1,000本 | 240,000円 |
残存有効期間による均等配分 | 1,200,000円÷3年 | 400,000円 |
当期に計上する償却額 | 上の二つの大きい方 | 400,000円 |
数量比例の24万円だけを計上せず、この条件では40万円を償却します。期末残高は80万円です。販売が少ない年でも、毎期の償却額は残存有効期間による均等配分額を下回れません。翌期以降は、販売見込みや残存期間の見直しも反映して再計算します。
見込販売収益に基づく方法を採る場合にも、均等配分額との比較が必要です。また、期末未償却残高が翌期以降の見込販売収益を上回る場合の処理は、通常の償却計算とは別に検討します。販売数量の式が使えることだけで、回収可能性の点検を終えません。
問題1:資産計上要件を満たす制作費60万円と、当期の利用者研修費5万円を支払いました。この条件の資産原価と研修費はいくらですか。解答は資産60万円、当期研修費5万円です。支払総額65万円を一括して資産にしません。
問題2:市場販売用の未償却残高90万円、残存期間3年、販売数量による償却額36万円の場合、当期償却額はいくらですか。解答は36万円です。均等配分額30万円と比較し、大きい方を採ります。