資本的支出・収益的支出がある固定資産の計算
修繕・改良支出を資本的支出と収益的支出に分け、改良後の取得原価、残存耐用年数、減価償却費を計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月28日
修繕・改良支出を資本的支出と収益的支出に分け、改良後の取得原価、残存耐用年数、減価償却費を計算します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月28日
修繕後残存耐用年数 = 従来の残存耐用年数 + 延長耐用年数
資本的支出 = 支出総額 × 延長耐用年数 ÷ 修繕後残存耐用年数
収益的支出 = 支出総額 - 資本的支出
改良後減価償却費 = (取得原価 + 資本的支出 - 既計上減価償却累計額 - 改良後残存価額) ÷ 修繕後残存耐用年数
本例題では、支出額を延長年数と修繕後の残存年数の比で区分する条件を指定しています。以下の式は、この指定がある設例の計算式です。実務の支出区分を一律にこの比率で決めるものではありません。
資本的支出 = 支出総額×延長耐用年数÷修繕後の残存耐用年数
修繕後の残存耐用年数 = 従来の残存耐用年数+延長耐用年数
収益的支出 = 支出総額−資本的支出
改良後の減価償却費 = (取得原価+資本的支出−既計上減価償却累計額−改良後残存価額)÷修繕後の残存耐用年数
修繕や改良の支払いを処理するときは、当期の費用になる部分と、資産へ加えて今後の期間へ配分する部分を分けます。支出の区分を決めてから、改良後に残る帳簿価額と利用期間で減価償却を計算します。
固定資産の価値を高めたり、耐用年数を延長したりする支出は、資本的支出として固定資産の取得原価へ加えます。現状を維持・回復するための支出は、収益的支出として当期の修繕費等にします。
問題文が資本的支出額を直接示している場合は、その金額を使います。支出総額と延長耐用年数から区分するよう指定されている場合は、指定された計算式を使います。
建物について次の資料が与えられています。
項目 |
|---|
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
固定資産の取得と売却の基本を説明し、問題に答える
固定資産の取得と売却
公認会計士短答式試験 / 財務会計論
資本的支出・収益的支出がある固定資産
固定資産の取得と売却
1. 企業会計審議会 企業会計原則・同注解
企業会計審議会(ASBJ掲載)
該当箇所: 貸借対照表原則五・五D(取得原価と費用配分)。資本的・収益的支出の区分及び耐用年数は独自設例の条件。
出典を開く端数処理資本的支出の配分額と改良後減価償却費に端数が生じる場合は問題文の指示に従う。最終年度は改良後の要償却額との累計差額を調整する。
補足耐用年数は年、支出額・累計額・残存価額は円でそろえる。期中改良では改良前後の使用月数を別々に扱う。
数値 |
|---|
当初取得原価 | 6,000,000円 |
当初耐用年数 | 10年 |
残存価額 | 取得原価の10% |
経過年数 | 4年 |
当期の改良・修繕支出 | 1,200,000円 |
延長耐用年数 | 2年 |
定額法を採用しています。支出総額のうち、耐用年数の延長に見合う部分を資本的支出とし、改良後の残存価額は、当初取得原価と資本的支出の合計の10%とします。
従来の残存耐用年数 = 10年−4年 = 6年
修繕後の残存耐用年数 = 6年+2年 = 8年
資本的支出 = 1,200,000円×2年÷8年 = 300,000円
収益的支出 = 1,200,000円−300,000円 = 900,000円
当初の年間減価償却費は次のとおりです。
(6,000,000円−600,000円)÷10年 = 540,000円
既計上減価償却累計額 = 540,000円×4年 = 2,160,000円
改良後取得原価 = 6,000,000円+300,000円 = 6,300,000円
改良後残存価額 = 6,300,000円×10% = 630,000円
改良後の未償却要償却額 = 6,300,000円−2,160,000円−630,000円 = 3,510,000円
改良後の年間減価償却費 = 3,510,000円÷8年 = 438,750円
項目 | 金額・年数 |
|---|---|
資本的支出 | 300,000円 |
収益的支出 | 900,000円 |
修繕後残存耐用年数 | 8年 |
改良後取得原価 | 6,300,000円 |
改良後残存価額 | 630,000円 |
改良後年間減価償却費 | 438,750円 |
支出総額は、資本的支出と収益的支出へ完全に分かれます。
1,200,000円 = 300,000円+900,000円
改良後の取得原価も、既償却額、将来償却額、残存価額へ分かれます。
6,300,000円 = 既計上減価償却累計額2,160,000円 + 将来の減価償却費438,750円×8年 + 残存価額630,000円
修繕支出の全額を固定資産へ加える。
資本的支出を支出総額×延長年数÷従来の残存年数で計算する。
改良前の減価償却累計額を控除しない。
改良後取得原価を、改良後の帳簿価額と取り違える。
残存価額を当初取得原価だけから計算する条件と、改良後総額から計算する条件を混同する。
改良後の減価償却費を当初耐用年数10年で割る。
問題文で資本的支出額が直接与えられているのに、比率計算をやり直す。
価値の増加や耐用年数の延長という効果を、見積書・工事内容から読み取ります。支出額が大きいという理由だけでは区分できません。会計上の判断と、税務の形式的な判定基準をそのまま同じものとして扱わないようにします。
取得原価3,000,000円、期首減価償却累計額1,200,000円、残存価額0円の設備があります。期首に700,000円を支出し、そのうち400,000円が資本的支出、300,000円が収益的支出と問題文で指定されています。改良後の残存耐用年数は4年です。
改良後取得原価、収益的支出、年間減価償却費を求めてください。
修繕支出総額900,000円、従来の残存耐用年数5年、延長耐用年数1年です。耐用年数の延長に見合う部分を資本的支出とする条件です。
資本的支出と収益的支出を求めてください。
改良後取得原価 = 3,000,000円+400,000円 = 3,400,000円
収益的支出 = 300,000円
改良後の年間減価償却費 = (3,400,000円−1,200,000円)÷4年 = 550,000円
修繕後の残存耐用年数 = 5年+1年 = 6年
資本的支出 = 900,000円×1年÷6年 = 150,000円
収益的支出 = 900,000円−150,000円 = 750,000円
資本的支出額が明示されている場合は、その金額を取得原価へ加えます。支出の性質だけが示される場合は、価値の増加または耐用年数の延長に該当する部分と、現状維持・回復に該当する部分を問題文に沿って区分します。
期中に改良した場合は、改良前期間と改良後期間で減価償却を分ける条件があります。改良日までの旧条件による償却を先に計算し、改良日以後を改良後の帳簿価額・残存耐用年数で計算します。
残存価額の算定基礎は問題文の指定に従います。改良後取得原価全体へ割合を掛ける条件を、無条件に一般化しません。
資本的支出は固定資産の取得原価へ加え、収益的支出は当期費用にします。改良後の減価償却費は、改良後取得原価から既計上累計額と残存価額を控除し、修繕後の残存耐用年数で配分します。支出区分、残存年数、残存価額の条件を順に確定することが重要です。