直接費・間接費と変動費・固定費の違い|二つの軸で原価を分類する
直接・間接は製品への跡付け、変動・固定は営業量との関係で判断します。直接固定費や間接変動費の例、原価対象が変わる場合の考え方を整理します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月22日
直接・間接は製品への跡付け、変動・固定は営業量との関係で判断します。直接固定費や間接変動費の例、原価対象が変わる場合の考え方を整理します。
執筆:LavaCount執筆者チーム
情報を確認した日:2026年10月22日
結論から答案までの順序
最初に押さえる結論と判断規範
直接費・間接費は「特定の製品などへ直接跡付けられるか」で区分します。変動費・固定費は「営業量が変わると費用総額がどう動くか」で区分します。判断の軸が異なるため、直接費が必ず変動費になるわけではありません。
このページでは製品を原価対象とし、一定期間・一定の操業範囲を前提に考えます。原価対象は、費用を集計したい対象のことです。製品、部門、受注案件など、何を対象とするかを最初に決めます。
事実を当てはめる順番
同じ費用でも、工場全体を対象にするか、個々の製品を対象にするかで跡付けの可否が変わります。例えば共通工場の建物賃料は、その工場へは直接跡付けられても、工場内で作る複数製品へそのまま直接跡付けることはできません。
製品Aだけに使う材料で、使用量を製品別に把握できるなら直接費です。複数製品に共通し、合理的な基準で配賦する必要があるなら間接費です。実務では、測定の手間や重要性も考慮します。
生産量に比例して総額が増減すると仮定できるものは変動費です。一定の操業範囲で総額が変わらないものは固定費です。「総額」と「1個当たり」を区別することが大切です。
答案へ落とし込む順番
分類を説明するときは、「原価対象は何か」「直接跡付けられるか」「一定範囲で営業量が変化したとき総額はどう動くか」の順に書きます。
例えば「製品A専用設備の月額費用は、製品Aへ直接跡付けられるため直接費であり、対象範囲内では生産量によって総額が変化しないため固定費である」と説明できます。
誤答につながる考え方
直接費と変動費を同じ区分と考える。
間接費であれば固定費だと判断する。
1個当たり固定費が減ったことを理由に、変動費だと呼ぶ。
原価対象を示さず、どの会社でも同じ分類になると考える。
変動費 | 固定費 | |
|---|---|---|
直接費 | 製品別に使用量を把握できる主要材料費 | 製品A専用設備の月額固定リース料 |
間接費 |
数値を変えて確かめる
公認会計士短答式試験 / 管理会計論
CVP分析と利益計画の基本を説明し、問題に答える
CVP分析と利益計画
使用量が生産量に比例し、製品別測定をしない補助材料費
複数製品に共通する工場建物の賃料 |
ここでいうリース料は、原価分類を説明するための月額一定の費用という条件です。契約の会計処理全般を示すものではありません。補助材料費も常に変動費になるわけではなく、実際の使用量の動きと測定条件を確認します。
製品A専用設備の月額固定費が120,000円だとします。生産量が100個でも200個でも、想定範囲内では月額120,000円です。製品Aに直接跡付けられるため直接費であり、生産量で総額が変わらないため固定費です。
月間生産量 | 固定費総額 | 1個当たり固定費 |
|---|---|---|
100個 | 120,000円 | 1,200円 |
200個 | 120,000円 | 600円 |
1個当たりが変わっても、費用総額が一定なので固定費です。
一方、主要材料を製品1個につき500円使うなら、100個の材料費は50,000円、200個では100,000円になります。1個当たり500円は一定ですが、総額が生産量に比例するため変動費です。
製品原価を計算するときは、直接費を製品へ集計し、間接費を合理的な基準で配賦します。利益計画では、売上高から変動費を引いて限界利益を求め、固定費をどこまで回収できるかを考えます。
そのため、直接費の合計をそのまま変動費とすると、製品専用設備の固定費が混入する場合があります。間接費の中にも変動する費用が含まれ得ます。目的に合わせて同じ原価を別の観点で整理し直します。
基本料金に従量料金を加える電力契約のように、固定的な部分と変動する部分を含む費用もあります。二つの部分に分けて扱うか、問題文で指定された方法で分類します。
固定費の「固定」は、永久に金額が変わらないという意味ではありません。生産量が設備能力を超え、追加設備が必要になれば総額が増える場合があります。対象期間と操業範囲を揃えて判断します。
製品Aだけに使い、生産量に比例して消費する材料費は、二つの軸でどう分類しますか。
製品A・Bが共通で使う工場建物の月額固定賃料はどう分類しますか。原価対象は各製品とします。
製品A専用設備の月額固定費120,000円について、生産量が300個の場合の1個当たり固定費はいくらですか。
1は直接変動費、2は間接固定費です。3は120,000÷300=400円です。生産量が増えて単位当たり負担は下がっても、固定費総額120,000円は変わりません。
分類後の変動費と固定費を使う計算は、損益分岐点売上高の計算で確認できます。定額法による減価償却費の計算も、期間ごとに費用を捉える練習になります。
原価の分類は企業会計審議会「原価計算基準」、固定費・変動費と営業量の関係は中小企業基盤整備機構J-Net21の解説を参照しています。表と数値例は学習用に作成しました。